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Rider's Story 朝、走る
割引あり
バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
武田宗徳 オートバイブックス 収録作品
早朝に目が覚めた。
普段なら再び眠りに落ちるところなのだが、今日は目が冴えてしまっていて、眠れそうにない。出勤まで二時間、妻が起きだすまであと一時間ある。
私は布団から起き上がり、着替え始めた。皮パンツの中にはタイツをはき、セーターの上から革ジャンを羽織った。厚手の革グローブにはインナーグローブもするつもりだ。
十二月の早朝はさすがにもう冷え込みが激しい。ましてやその時間にオートバイで走るとなると、それ相応の防寒対策が必要だ。私はヘルメットを抱えてアパートの外へ出た。
駐輪場から少しバイクを移動させてから、エンジンに火を入れる。暖気している間に、ヘルメットのあご紐を締め、グローブを手にはめる。オートバイに跨り、シフトペダルを一速に落として、私は静かに走り出した。
ピンと張り詰めた冷たい空気がシールドの下から入り込んでくる。薄暗い中、ほとんど車通りのない片側一車線の道路を、ひたすら北上する。凛とした空気を顔に感じながら静かな通りをただ走り続けていると、頭の中が少しずつ整理されていくような気がした。
昨晩、仕事で疲れていた私が妻より先に寝ようと寝室に入ろうとした時、
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