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終わらない文化祭の準備、押井守監督『ビューティフルドリーマー』

文化祭というのは、文化祭そのものが楽しいのではなくて、文化祭の準備期間が楽しいのだ。そして、押井守監督『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』は、遅々として文化祭当日がやって来ず、延々と文化祭の準備をループする映画だ。
これは批判的にアニメオタクを描いた作品となっている。いつまでも終わらない夢=アニメを見てないで、現実に目を向けろ、と。しかしアニメオタクたちの反応は逆だった。
「やっべ、やっぱアニメってすげー楽しい!」
こうなってしまったわけだ。

なぜこんなことを書いているのかというと、『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』を観たために、その流れで『花束みたいな恋をした』を観たからだ。
『花束』に押井守がカメオ出演しているのだが、なぜ押井守である必要があったのだろうかと考えていた。
細田守でも新海誠でもなく、押井守。
「終わらない文化祭の準備」は、男女であれば、まあ今時は男男でも女女でもいいのだけれど、恋愛中のことだ。文化祭当日は結婚になるわけだ。
終わらない文化祭の準備=恋愛中で死ぬほど楽しい。しかし文化祭本番=結婚で大して楽しくない。理想と現実だ。
だから押井守である必要があったのだろうと思うのだが、果たして坂元裕二氏をはじめとした製作陣はそこまで考えていたのか? サブカル感があるからチョイスしたのではないか? とも思ってしまう。


王ケイ

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