[春の薬膳]滞った「気」と「水」を巡らすミネストローネ
トマト大好き薬膳Kitchen AUREA. ナカタニです。
私のトマト好きはこちらにあります。
春のこの時期になぜミネストローネ?
我が家はミネストローネをよく作ります。私がトマト好きだからはもちろん、離乳食時期の息子のためにトマトジュースで作ったのをきっかけに今に至ります。
スープというと、寒い冬の常食なんてイメージがあるかもしれませんが、我が家は味噌汁をはじめ、スープ系は常食しています。野菜嫌いの息子がお汁と共に野菜を食べる(といっても小さくカットしています)、それもほぼ残さない!という理由からです。
だいたい野菜の冷蔵庫整理もそうですが、たくさん野菜を食べたいなぁと感じる時にパッと簡単に作れるのがミネストローネだと思います。
では、なぜ春の今、ミネストローネなのか?それは
・「セロリ」で春のストレスケア
・「豆類」でストレスダウンする消化機能ケア
この2点にフォーカスしました。
・ストレスケア → 「肝」の疏泄作用を改善
「肝」は気血の巡りを整え、身体の様々な機能がスムーズに行えるようサポートしている臓腑です。これが春になると「陽」の気が活発に動き出し、一気に増えて「肝」の「気」が上がりやすくなってしまう。またこの時期は、新年度の緊張や小さなストレスのような環境要因も重なってしまいます。
それを解消しようと、セロリ・ピーマン・玉ねぎのような香りの強い野菜で滞った気を巡らすことにしました。ちょうど冷蔵庫にあったセロリの葉を利用したかったのはもちろん、ビジュアル効果UPで赤黄のパプリカも使いたかったのが正直なところ。
春だけでなく、ストレスフルな状態や環境を意識した時には香りの強い野菜を摂ってみるのもいいですね。
・ストレスの影響でダウンする「脾」の消化機能のケア
気血の巡りを主る「肝]は、五臓「脾」の胃腸の消化機能にも大きく関わります。
ストレスで「肝」の機能ダウン→「脾」の機能ダウンとなると、食べられない、胃がムカムカする、食べた後に眠くなる、女性だと生理周期が乱れるなどの様々な症状が現れます。
そもそも、胃腸が正常に動かないと食べ物から「気」「血」を生み出すこともできません。
今回はそれを豆類で補い、あわせてむくみ予防で巡らせることにしました。
「気」を巡らす食材たち
主に理気類、平肝類
消化機能UPの食材たち
主に健脾・補中、和胃・健胃
実はレンズ豆が残ってたんです
サラダやカレー、スープなどの煮込み用に買っておいてそのままだったレンズ豆。豆類は胃腸の調子を整え元気にするだけでなく、普段から疲れやすい、食欲不振などのエネルギー不足を改善します。
レンズ豆はこれらの効果の他に、むくみを解消させるので、梅雨の時期や身体に余分な水が溜まってしまっている時には水を巡らす食材としてオススメします。
浸水したりする必要もないレンズ豆はすぐに使えるので便利です。色は様々あって赤色だと煮込み時間は15分〜20分程度(緑や茶色は硬く30〜40分ほど煮込みが必要)で柔らかくなりますよ。
消化機能を整え胃腸を元気にする、そして余分な水を巡らし出す。この効能パワーを持っているお豆たちが多いのです。
おまけ/セロリにまつわる思い出
私は、トマトジュースだけでなく野菜ジュースも子どもの頃から好きでした。それはセロリの香りや味を感じやすかったから。トマトだけでなくセロリの強い香りも好きでした。
セロリの薬膳効能にまつわり、ある講師のお話が今でも忘れられません。
「イライラしたらセロリ1本まるごと食べてもいいんです」※
だからなのか「なんかイライラするなぁ…」と感じると「あ!先生のセロリ!」と勝手に思い浮かんでしまいます。
(※ イライラの症状は中医学の理論上、様々な症状や身体の状態から診断するのでセロリが全て当てはまるとは限りません)
ただ、セロリは身体を冷やす作用「涼性」なので、冷え性タイプや胃腸の調子がイマイチの時などは多食はお控えください。この場合は、ミネストローネのようなスープなどの温かい煮込み料理やきんぴらなどの炒める料理、他にもクミンやフェンネル、マスタードなどの気巡りUP(理気類)作用のある香辛料と組み合わせたりしてみてください。
今の自分の身体の状態をよく観察してから調理方法にこだわることも大事な薬膳メソッドです。
まとめ/いつものスープが薬膳スープに変わる
「薬膳スープ」というと火鍋のようなニンニク、唐辛子、生薬たっぷりの辛いスープや漢方薬のようなイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、このミネストローネのように今の自分や家族の体調、季節や環境などに合った食材を選ぶと、見た目はいつものスープでもそれは薬膳スープに変わるのです。
食材を選ぶ、調理方法を選ぶ、そして自分や家族自身の体調と向き合う。
ちょっとした薬膳メソッドをヒントに楽しい料理、楽しい食事にしていきたいですね。