覆水盆に返らず
ーめそっこ一本棒寿司
食卓に並ぶ七草がゆ。その隣にどういうわけか、アナゴの棒寿司が皿に乗っている。その日は人日の節句(1月7日)。七草がゆがあるのは理解できる。ただ、アナゴの棒寿司は、どうしても分からない。謂れがあるのかもしれないと思い、吽形(妻)に訊ねた。すると、吽形はニヤリとしながら、こう答える:「あ、それは罪滅ぼしね」。
トップ写真:十分に味わわずに完食した「めそっこ一本棒寿司」=吽形作成の画像を基に阿形作成
食卓の主役
吽形によると、この棒寿司は東京・銀座のアナゴ料理専門店「あなご屋 銀座ひらい」の一品とか。季節の野菜を雑穀米で包んだ巻き寿司で、アナゴが一本乗せてある。「めそっこ一本棒寿司」というらしい。実に食欲をそそる。
どこか高級感ある巻き寿司と思いながらも、この日の主役は七草がゆのため、やっつけるように完食。胃に優しい淡白な味わい。よく行くスーパーで買ったものかと思い、どこで買ったかについて訊ねる。
すると、吽形は嬉しそうに、その日にあったことを話し出した。わが母と一緒に美術館に行き、その途中でランチを食べたお店のお土産とのこと。そういえば、その日の朝に母と出かけると言っていたっけか。
腹の中
「働いている阿形に悪いと思ってお土産を買っておいたのよ」と吽形。銀座メシか。それをもっと早く言ってもらいたかった。主役を七草がゆからアナゴの棒寿司に変え、もっと味わいながら食べたのに。
食べた棒寿司はすっかり胃の中、腹の中。覆水盆に返らず。(あ)
写真:東京・銀座のアナゴ料理専門店「あなご屋 銀座ひらい」の逸品、「めそっこ一本棒寿司」=逸品弁当公式ホームページ