たわわに咲いた雪柳の
花房の根元に
幼い日のわたしがいる
小さな手で
花房を握りしめたまま
先へと沿って引っ張ると
ぶちぶちと小さな音を立てて
命が千切れる
掌に、あふれる緑と白
汗ばむ中、
毟った命の花吹雪を
小さな手が空に巻き上げる
「きれい」は一瞬
バラバラと散る残骸を
幼さは、すぐに忘れる
小さなわたしの影を見送り
わたしは葉と花をかき集め
命のかけらを押し戴く
拾いきれなかった分は
風よ、どうか
空へ返しておいて下さい
・・・・・・
雪柳があちこちで咲いているのを見かけます。昔、祖父母の庭にあった大好きなこの花から、今の筆名をもらいました。
花の命が噴水のように溢れていくのに倣って、静かに、確かに、咲いてゆきたいものです。
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