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銀行リテールの未来を語る③

 仙です。お世話になっております。
前回私のリテール営業としての魂のnoteを、非常に多くの方に読んでいただきました。御礼申し上げます。

 さて、リテールの展望編です。
リテール営業の皆さんが今後どういうキャリアを歩んでいかれるか。私はデジタルに行かないならば、手に職をつけていくことが生き残りの道だと思っていますので、手に職をつけていきたい方向けにお話ししていきたいと思います。
 基本的には少子高齢化なので、日本国内のマーケットは先細りですから、それは踏まえておいた方が良いと思います。
踏まえるとは、何か変えなきゃいけない、ということです。
あくまで、私の考える展望、ということでお願いします。

ウェルスマネジメント

 大手金融グループに残る選択ならば、あらゆる金融機関に成長分野と見込まれているウェルスマネジメント分野に進んでいくのが良いと思います。
 一般的にはプライベートバンカーの担い手は年齢層が高いです。知識だけでなく、それなりの人生経験を積んでいないとウェルスマネジメントの対象となる顧客の相手をするのが難しいからです。相手をするとは、サービス業に満足を感じてもらえる、ということです。
 また、この分野は選手層が非常に厚い。誰でも知っているような上場企業オーナークラスになると、UBSやクレディ・スイスのような業歴の長い外資系プライベートバンクや、大手総合証券や銀行のスイスやアメリカのプライベートバンキングオフィスで修練を積まれた、本物のプライベートバンカーらが複数人担当でついており、彼らの築いた顧客との信頼関係に割って入ることは、並大抵ではありません。
 大企業取引の傍らで、顧客のポートフォリオの一部分を担当するとか、コンプラ面で安全性の高い情報を提供していくことで、勝ち筋を見つけていくこともできると思います。ただ、若くして担い手になることはかなりの努力が必要になります。共通語としての証券アナリスト等の資格は勿論、国内外の大学でMBAを修め、経営者との話をできるようにするなど、そのくらいのことは最低限やっていくことが求められます。全て話題作りの為です。経営者や上級の役員は短期間のMBA相当のプライベート研修を受けていますので。
 上場企業オーナーやそれに準ずる規模の未上場企業オーナーを相手にする時は、1人では無くてグループ内の全てのリソースを使って協力して当たることになるのもポイントです。
 そういった全金融機関が行きたいけど難しいマーケットじゃないところに行きたいとすると、都内の路線価の高い地域の地主や、開業医、中小企業オーナーなどを主なマーケット見込んでやっていくのも良いと思います。
 ただでさえベテランの実力者が大企業オーナー取引に駆り出されているところです。伝統的に、特定の出来る担い手に案件を集めてきた結果、担い手全体の育成が進んでおらず、また案件を集めていた担い手も退職していきますから、今後まともに対応できる担い手は貴重になるでしょう。
 私のメインマーケットでもあります。
 FP2級(AFP)⇒FP1級(CFP)⇒プライマリーPB⇒シニアPB⇒宅建などなど、実務を行いながら必要な知識を資格で補完して、個人で士業の方々と協働できるようにしていくのが良いと思います。
 ここはプラットフォームとなる企業や個人プレーヤーも多く、商業銀行、信託銀行、証券会社、財産コンサル、IFA、保険営業、FPと職業の選択幅も大きいです。以前紹介した図ですが、どのポジションを仕事にしたいか(自分が楽しめるか?)によって、鍛えるべきスキルの順番を決めていけば良いでしょう。士業を目指していくのも良いと思います。例えば運用の担い手になる為に銀行の人が証券会社に行ってみるのも良いと思います。

ちなみに私はコントロールタワーですので、まさに先に挙げた資格を勉強して、幅広い専門職の方と話せる共通語を身に着けていくのが良い、と思っているわけです。

ネット証券・保険会社系

 ネット証券それ自体でIFAを動かしていくのも良いと思いますし、マーケティングを学んで、セミナーなどで幅広い顧客に正しい情報を届けていく方向性も良いと思います。
 ネット証券を見てみると、セミナー情報がわんさか載っており、席が埋まっているのが分かると思います。
 他にも年金経由で退職金運用の相談のパイプのある保険代理店や、IFA法人などがセミナーによる布教を行いつつ、運用相談を受けているのです。
 IFA法人かネット証券、保険代理店、保険会社の中に合ってFPとして相談しつつ、クロージングもする(アドバイスと提案は分けないといけませんが)。銀行や証券を出て、そういうやり方を取っても良いと思います。求人も多いですよね。

マスリテール

 今店舗で来店誘致型営業をしているマス顧客の担い手は、非常に苦境に立たされることになることはある程度見えていると思います。極めて簡単な理由で、競争が激しすぎるからです。SBIや楽天といったネット証券に加えて、LINE証券なども出てきています。
 頑張って勉強して上に挙げたような空いたマーケットに飛び込んでいくことを、現時点で所属企業から推奨されているのではないでしょうか。
 あるいはITに強くなり、事務手続きを含めた自社プロダクトを徹底的に覚えて(今よりも広範囲のことを覚える)、店頭に相談に来るお客さまに対して、機械の使い方を的確に案内できるようにしておくと、有人店舗に必要な機能として残ることができるのではないでしょうか。

 生き残る秘訣は、誰を顧客にするのかを決め、その顧客に必要なことをする。自分が何をするのが好きか?を軸に決めれば良いと思います。
 顧客さえいれば何度でもやり直せます。
 逆に、顧客がいなければ仕事はありません。
 仕事が無ければ働けませんから、残念ながらですけど努力するしかないんですね。勿論、出来る範囲でね。
 今までだって数限りなく試験を受けさせられて手続きを覚えさせられて、その考査も受けているわけですから、出来ますよ。きっと。
 勉強時間が確保できなければ、それは企業が目指している姿と全く違うので、意見を述べていった方がいいです。
 人事評価など気にせずに。
 その方が自分の為です。
 椅子取りゲームになるわけですから、誰も助けちゃくれません。

 といったところです。何度でも言いますが、金融で困ってるお客さまは多いんです。ちゃんとやれば感謝される仕事なんです。その相手にあったやり方さえできればね。

 お読みいただき有難うございました。
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【追記】

岸田政権の資産所得倍増計画で、資産運用アドバイザー資格を準備している話がありましたよね。アドバイザーの資格を取って、準公務員化する道もあるように思いますから、前向きに捉えて資格がリリースされた際に、取得していくのが良いと思いますよ。

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