メガネとギター

#この仕事を選んだわけ

 小学5年生のときの担任の先生が、変わった先生だった。音楽の授業では、ギターをかき鳴らし、赤い外車に乗っていた。職員室では、たばこを吸い、授業では自分の趣味の話を延々とした。僕らが、6年生になるときに、外国の学校に旅立っていった。

 小学6年生のときの担任の先生は、普通の先生だった。いつもスーツを着ていて、銀縁のメガネを掛けていた。怒ると唇を震わせて、怒鳴った。正直、ちょっと怖かった。卒業旅行のとき、その先生の私服を初めて見た。デニムに白のシャツ、茶色のベスト着ていた。メガネが黒縁に変わっていた。

 自分の将来を真剣に考え出したのは、高校3年の春。メガネとギターが、ふと頭に浮かんだ。僕は、教育学部に進学した。

 教員になって10年が過ぎた。大変なこともたくさんある。辞めようかなと思うことさえある。でも、目の前には、僕を見つめる、たくさんの子供たちがいる。僕のちょっとした言動が、この子たちの何かのきっかけになるかもしれない。教員って、そんな存在なんだと思う。

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