【発刊記念】マッキンゼーからソマリランド、の市川瑛子が新刊を語る。「未来がどうしようもなく楽しみになった本でした。」
今、この本に出会えてよかった。
本が自宅に届いてから一日で読み切ったのですが、その間なんだかずっと気持ちが落ち着かなくて。「2030年の学校をつくる」というテーマのもと、先進的な学校や教育者たちからかき集めたヒントをぎゅーっと凝縮させているこの本には、未来への希望と具体的な筋道が記されていたんです。それを読みながら、なんだか私自身の未来も変わっていくような、そんな不思議な感覚になって、ワクワクとドキドキがとまりませんでした。
そういえば、2014年に初めて税所篤快というエネルギーの塊に出会ったときも、「なんか自分の未来が変わっちゃったかもしれない」という気持ちになったのでした。
知り合って間もないにもかかわらず、「一緒にソマリランドで教育プロジェクトやらない?」と誘われて、何が何だか分からないまま「行く」と答えてしまった私。
そんな風に勢いで動いてしまうのなんて自分の知っている自分とはかけ離れすぎていて、どうしちゃったんだろう、と思ったのを覚えています。
振り返ってみると、それは、篤の「好奇心」と「行動力」が、私に伝染した結果だったんだと思います。彼には、そういう力があるんですよね。
この話はnoteにも書いているし、本とは直接関係ないので詳しくは触れませんが、とにかく、篤は、自分のやりたいと思ったこと、知りたいと思ったこと、信じてみようと思ったことに対して真っすぐ、純粋に、全速力で行動する男です。
そんな彼だからこそ、「このままでは日本の学校は、2030年までに滅びるかもしれない」という言葉を聞いたときに、いてもたってもいられなくなった。
そして、いや、実際はそんなことはない。すごい学校や教育者たちは、たくさんあるはずだ、ということを証明すべく、5年間も取材を続けました。
「なんだ、日本にもすげえ学校あるじゃんよ」
そんな彼の言葉に、私は安心感と、安堵感と、希望と興奮を覚えました。
そしてその後に綴られていた様々な学校の取り組みに、正直に言って心底驚きました。本当に、日本にはすげえ学校がたくさんあるんですね。
子どもや教育に関わっているすべての人、10年後の地域社会に興味のあるすべての人に読んでいただきたい本だなと思いました。
さらに読みながら感じたのは、「これって学校だけじゃなくて、これからのあらゆる組織の在り方にも通じるんじゃないか」ということ。私は今、いわゆる「教育」の業界からは離れ、会社組織に属していますが、なんだか「2030年の会社のつくりかた」といってもそうずれていないような、そんな気づきもたくさんあったのです。
だから、この本は、教育にかかわっていなかったとしても、何かしらの組織にかかわっている人には是非読んでいただきたい。きっと、重要なヒントを与えてくれると思います。
例えば…
「学校は“あるもの”ではなく“つくるもの”」
そんな考え方のもと、子供たち、親、地域社会とともに居場所づくりをしている大空小学校。
「先生」という呼び方ではなく給食や掃除担当の職員も総称して「教職員」という言葉をつかっていたり、親には自分の子の「保護者」ではなく全生徒の「サポーター」という立場を求めたりしています。
時代に合わせて、皆でつくる。そんな考え方が、学校だけじゃなく会社やあらゆる組織に求められてきているような気がします。
また、学校法人角川ドワンゴ学園の運営するN高は、これまでの「通信制高校」のイメージを180℃覆すような驚くべき取り組みばかり。中でも「勉強、つまり“勉めて強いる”のではなく、子どもたちの自発的に学ぶ意欲を引き出すことで、彼らは圧倒的に成長していく」という教育方針は、今の企業の人材育成にも求められている(かつ、見逃されている)視点だと感じます。
さらに、前杉並区教育委員会教育長の井出先生の中で出てきた「チーム学校」というコンセプトもビビっときました。学校システムそのものの多様化が求められた結果として生まれた「チーム学校」は、これまでの「同質管理」から、多様な教員系・非教員系とを巻き込んだハイブリッド組織の「異質管理」への移行を意味しているのですが、それもまた、学校に限らず変化しなければならないことなのではないかと感じているからです。
僕は教育を語るに落ちる人間です。
しかし、この旅で出会ってしまった、どうしようもなく魅力的な教育人たちの生きざまを次の世代に伝えるために、この本を書きました。
「はじまり」に書いてあったこの文、好きだな。
篤らしい、真っすぐさと人たらしな感じが出ていて、かつこの本に出てくるカッコいい大人たちをうまく表現できているなあと思うんです。
長くなりましたが、少しでも面白そうと思っていただけたのであれば、嬉しいです。
少なくとも私はこの本を読んで、「私もやっぱり、これから教育に関わっていきたいな」という思いが強くなって、未来に向けて楽しみな気持ちが芽生えてきました。
篤、ステキな本を書いてくれて、ありがとう!
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市川瑛子
1989年生まれ。慶応大学卒業後、マッキンゼーアンドカンパニーに入社。2015年、文部科学省のトビタテ!留学JAPAN運営事務局にて勤務したのち、2017年から米スタンフォード大学の経営学修士(MBA)および教育学修士(MA)を取得。
2018年より、ランサーズ株式会社の「誰もが自分らしく働ける社会を実現する」というビジョンに共感して入社。シリコンバレー在住のリモートワークや「働きながら世界一周」する社員として勤務しながら、コミュニティ・教育サービス「新しい働き方LAB」の所長として様々な働き方の普及活動を行っている。
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