2年間僕を苦しめた逆流性食道炎と胆嚢炎の話
note初投稿のお題が随分とジジ臭い。
まぁ40過ぎれば十分ジジーなんだけどさ。
ほっとけ。
下らない日々の呟きはTwitterと地元の飲み屋で概ね事が足りてるが、人は普段の生活から少し外れたもの(病気など)で、聞き慣れない様な病気を患った時、専門的なサイトに加え、患者目線で綴るブログや体験談を見て気が楽になったり助かったりした事が多かったので、逆流性食道炎で悩む人や、胆石が健康診断で出ている人向けに少しでも役に立てればと思い、書くことにした。
因みに僕は過去に主だった入院履歴は無く、大きな病気も幸いにして無かった。
遡る事、2年前。
いつも通りの日。
明け方になって胃に違和感を覚え起きた。
正確にはみぞおち付近の疼痛で起きたんだけど、その時は食べ過ぎて胃がもたれたんだろうぐらいの感覚しかなかった。
ただ珍しく吐き気もして、トイレに駆け込んだ。
嘔吐しつつ、色々と原因を考える。
前夜は思い当たるような生物は食べていない。
きっと食べ過ぎたか、不遇の食あたりというヤツだろうと思っていた。
但し、前夜に生クリームたっぷりのショートケーキを食べた事は今でも覚えている。
四十路を超えたし、情けないなぁなんて思いつつも、その痛みが2時間~3時間で完全に消失すると、すっかりその事を忘れたかの様に振る舞い、いつも通りの食生活を過ごした。
その後数カ月間に、同様にして明け方になると胃の痛みで起きる事が徐々に増えてくる。
流石に何度目かになると僕自身段々と怖くなってきて、重い腰をあげて初めて胃腸科で診察をして貰った。
最初の診断は胃炎でしょうと言う事で胃腸薬を処方され、その後また数ヶ月を過ごした。
けれど不定期に襲ってくる明け方の痛みは続き、また痛い時間が初期の頃より長くなってきていた。
痛みの症状が起きると、その都度ベットで丸くなった。
まず、立つ気力が無くなる。
そして決まって痛むのはみぞおち付近で胃の周辺である事は間違いない。
但しどの姿勢になっても痛みを緩和する事は出来ず、長い時で6時間以上ひたすら悶えて耐えるという類の痛みが続いた。
痛みは波の様に乱高下はせず、高い痛みの位置で何時間も続くのが特徴で、これは精神的にもかなり辛かったし、痛みが出ると半日仕事を休む、酷い時は丸1日休むという悪循環が常態化しつつあった。
後日、少し規模の大きい病院へ行く。
先生に症状を伝えると、すぐCTと内視鏡検査をしましょうという事になった。
内視鏡は35歳から健康診断で毎年飲んでいて、それまで特に異常は無かったんだけど、ここにきて初めて逆流性食道炎(正確には胃食道逆流症)と言う診断が下された。
健康診断と言えば、経過観察の部分に「胆石〇〇mm」という表示が3年前位から出ていて、毎年1ミリ程度大きくなっている診断結果が出ていた。
問診の際にその事を訊ねたが、これと言った対処法は無いそうで、”異常な腹痛になったら胆嚢炎。危険なのですぐに医者へ行くように”という漠然とした指示であったのは覚えていた。今思えばこちらも同時にケアしていく必要性があったのだが…
*逆流性食道炎の診断が出た後は、大抵の人は先ずネキシウムやタケプロン、オメプラール等のプロトンポンプ阻害薬(PPI)を処方される。特にネキシウムは世界中で一番飲まれている優秀な薬だそうで、僕が約2年で4か所受診したお医者さんの総括をすると、先ずはネキシウムで改善が見られればOKだけど、それで治らない場合は武田製薬のタケキャブが世界で一番強いPPIだそうで、さらにはこうした内科治療でも治らない場合、患者には外科治療を施すという選択肢も残されている。
尚、外科治療に関しては四谷メディカルキューブさんのHPがわかりやすい。
僕の場合はPPIに加えて制酸剤のマルファ配合液と、モサプリドクエン酸塩錠5mg、そして粘膜保護のアルロイドGというドロドロの緑の液体という構成で戦った。
*写真はまだネキシウムの頃。
最初の頃に出された”胃薬”から、徐々にこれだけ処方されるといよいよ病人感が出てくる。人のメンタルは病状よりも、処方される薬の量で左右されるのではないかと思えるほどだ。
肝心の僕はというと相変わらず数ヵ月毎位に不定期に訪れる痛みに悶えていたが、着実に痛みの時間が延びているのが特徴的だった。
食改善に関しても一応は行っていて、
①脂物は原則食べない
②大好きなコーヒーも全てカフェインレスコーヒーへ切替え(当然美味しくはない…)
③腹圧を上げない為に7~8kgの減量
④就寝時に上体が起き上がったポジションになる様、枕やアイテムを使って対処
⓹原則21時を過ぎたら食べない
⑥アルコールは元々然程飲まないが、完治迄禁酒にする。
等々、ほぼ完全無欠のジジーライフである。
そして悲しい事に優秀なネキシウム君でも効いているという自覚が無く、遂に世界最強のタケキャブへ切り替わったのだが、これでも一向に改善しない。
その頃になると、痛みは酷い時で3日~4日絶食するほどの痛みが襲ってきて、もうこうなるといよいよ外科治療も視野に…という事で、四谷メディカルキューブさんとも電話診療を行い、今服用している最後の砦のタケキャブで効果が無かった場合は、事前検査を経た上で手術も検討しましょうという段階まできていた。
又、逆流性食道炎はストレスも大きな原因の1つとされているが、実際には今時ストレスなんて持っていない人の方が珍しいだろうし、幸い精神に異常をきたす程のストレスは無かったので、個人的な感覚としては主原因としての可能性は低いと思っていた。
症状も文章に起こすととても軽く見えてしまうが、3~4日みぞおち付近の痛みが24時間止まらず、食欲ゼロの状態が続くというのは正しく本当の地獄で、寧ろこの痛みで精神に異常をきたす可能性がある程の苦痛だった。
一方でこの頃になると疑問にも思っていた事があって、逆流性食道炎は今や万単位の患者数を数える有名な病気になったが、
果たして逆流性食道炎持ちの人達は、症状が出ると数日間絶食するほど痛む事なんてあるのだろうか。
というのが大きな疑問だった。周りの知人にも逆流性食道炎はちらほらいるが、ここまでの病状は聞いたことが無い。
幾度かの内視鏡検査では、胃や食道は多少荒れてはいるという診断だったが、痛みの感じ方は人によって千差万別だという事なので、自分のケースでは見た目の割に痛みが酷い方なのだと思っていたし、実際に胃酸によってバレット食道になりかけているという診断も下されていた。
そしてこればかりはネットでググってもなかなか出て来なかったのは、症状として痛い、食欲が無い、眠れない、もう嫌だという声は頻繫に書かれているが、逆流性食道炎の症状が出てから何時間、何日間痛みが治まらなかったという詳細迄は、なかなか書かれていなかった。
そして痛みがMAXになって耐えられない時、鎮痛剤のストロカインを飲むという最後の砦も用意していた。
そしてつい最近、いつもの不定期な痛みが襲ってきた。12月以来なので、約4カ月ぶりの痛み。
勿論、暴飲暴食した覚えはない。
今回は初日からストロカインを飲んだのだが、こいつも全く効かない。
とうとう最後の砦まで崩されたのだ。
悲しいかな、こんな重い痛みですら人は慣れてしまうもので、いつもの通りベッドで丸くなり、ウンウン唸りながら絶食2日目を迎えた日の夕方だった。
腹痛が尋常じゃ無いレベルで襲ってきたのである。
お腹を下すあの痛みじゃない。呼吸が浅くなる(厳密には呼吸を吐くのは出来ても吸えない)程の痛み。これが僅か30分程度で一気にきた。
こ れ は や ば い。
と思った矢先、勝手に手は119番を回していた。
ネットでは比較的症状が軽い(という勝手な判断で)119番を躊躇う人がいると言うのはよく見てきていて、実際に僕もそう思っているクチだったので、痛くても自力で病院まで行っていたが、今回だけは違った。
救急車はものの5分で到着した。
脂汗をかきつつもまだ自力で歩けたのですぐに乗り込んだ。ご近所さんや野次馬が家の前に集まっていてみんなに見られたが、最早そんな事すらどうでもよくなる程の痛みが襲っていた。
車内では救急隊員さんが受入先を探してくれるんだけど、すんなりと決まり、5分程度の病院へ搬送された。
救急車は新旧若しくは車種によるのかは不明だが、思っていたよりもずっと乗り心地は良くはなく、ちょっとした段差でもガシンガシンと車内の色んな機材が音を立てて揺れたし、その衝撃に合わせて唸っていた。
病院に到着後、ストレッチャーで救急外来へ運ばれたが、所々の部分が痛くてどうやってその部屋に着いたのかちゃんと覚えていない。
早速、逆流性食道炎持ちである事を伝えると、先生は予想外の言葉を発した。
うーん…これは逆流性食道炎じゃないかもしれません。
…え?
2年間も逆流性食道炎の治療をしてきた身としては、訳がわからなかったと同時に、何故かその時心はびっくりする位嬉しかったのを覚えている。やっぱり違ったのかと言う思いと、これで助かるのかもと思った気持ちが交じる。先生は早速超音波エコーを行い、僕に言った。
「内臓すべてが炎症を起こしています。こんな状態でよく何日も耐えてましたね…まぁまぁ緊急です。そしてこれは逆流性食道炎ではありません。おそらく胆嚢炎です。」
…え?
である。
約3年前の健康診断の問診で言われた、あの話…
”異常な腹痛になったら胆嚢炎。危険なのですぐに医者へ行くように”
正しくこれであった。
そして緊急手術という事になったんだけど、生憎運ばれた病院のスケジュールだと直ぐに準備が出来ないとの事で、翌日早々に手術をしてくれる病院へ転送される事になった。
転送先の術前説明では腹腔鏡手術であり、全身麻酔である事、胆嚢ごと除去した方が良い事、手術時間は早ければ1時間程度だが、癒着が酷かったりすると3時間程度になると言われたが、後日訊いた話によると2時間半だったそうなので、かなり手強いヤツだったのだろうと思われる。
ここまでが経緯だ。
今回、ずっと逆流性食道炎だと思っていた数日痛み続ける原因に関してはおそらく、胆嚢炎が原因だった可能性が高い。
ただそれについてはどのお医者さんも悪くないと思っているし、どの先生達も親身になってくれて、ベストを尽くして頂いた事にとても感謝している。
ただ、それぞれの原因と症状があまりにも類似しているのだ。
★2つの病気の共通点★
・脂物(生クリーム等の高脂肪食)を食べると症状が現れやすい
・胸やけの様な症状であること
・みぞおち付近がとにかく痛い
・明け方に発症しやすい事
・年齢的な要素(40代を超えると何れも発症しやすい)
・僕の場合は胆石が詰まりかけては内臓に炎症を起こし、また詰まりが無くなっての繰り返しをしていた可能性が高い事(つまり急性胆嚢炎ではなく、術後に言われたのは完全な慢性胆嚢炎であった)
★逆にずっとおかしいなと思っていた点★
・痛みが来ると、数日間飯も食えない程の痛みが来る
・嘔吐が酷かった時に一度だけ、蛍光色のイエローの様な汁だけを吐いたことがある(今思えばこれ胆汁の可能性)
・ネキシウムやタケキャブ等の強いPPIが全然効いてない感じがする
・内視鏡検査の結果でそんなに痛みますか?と首を傾げられる程逆流性食道炎の進行具合は軽度だった事。
・胃痛用の強い鎮痛剤・ストロカインが全く効いていない
上記以外のケースで胆嚢炎のリスクは、胆嚢炎は女性が発症しやすい事、過度なダイエットをした事がある人、絶食する機会が多くある事等も胆嚢炎になりやすい要素らしい。
そして”胃”と”胆嚢”の関係性。
胃や食道は一般的に上部消化器官というカテゴリに分けられ、巷にある病院の数も凄い。
世の中、胃腸が原因で苦しむ人々がたくさんいる証拠でもある。
そして下部消化器官は大腸や小腸等であり、これもカテゴリ分けされる。
ならば胆嚢や膵臓はどちらになるのかというと、これはこれで専門的な項目になっていて、実際に胆膵内視鏡検査なんてのもあり、胆嚢と膵臓は比較的マニアックな位置に属している。(この辺は今度主治医にも聞いてみたい)
つまり僕のケースで言えばこの痛みが逆流性食道炎と胆嚢炎が各々類似した状態で同時多発的に発症したケースになり、これが稀なのかよくある事なのかは不明だけど、そのせいで根本原因に辿り着く迄に時間が掛かってしまった原因でもあった。
又、主治医に訊いて驚いたのは、逆流性食道炎と胆嚢炎に相関性は殆ど無いという事。
つまり、逆流性食道炎患者は胆嚢(胆石)も疑え、とはならないのである。
(おそらく逆も然り)
さらに幸運な事に、最初に僕が運ばれた病院で応対してくれた先生が、胆膵の専門医であった事もある。
とにかく手術は無事に終わり、約1週間で退院出来た。
術後2週間が経過したが、今の所は体調は良好ではある。
そして2年間僕を苦しめた胆嚢炎だけど、胆嚢の中に詰まっていた胆石は
合計で34個あった。(ウソだろおい
2㎝近いチョコボールの様な茶色のビリルビン石が2個と、5㎜程度の白いコレステロール石が32個。
こんな物騒な石があの小さい胆嚢という臓器にひしめき合っていた事を考えれば、凡そ痛みの想像も付くというモノである。(画像はグロいので割愛
しかしながら逆流性食道炎が治った訳では無い。
想像したくも無いが、またあの痛みが何時来るかの保証も無い。
(但し主治医曰く、おそらくそのレベルの痛みは今後無いだろうとの事。)
だけどもし、逆流性食道炎と診断されて色々と試したのに数日間も痛みが続く様なケースがあり、健康診断で”胆石”と診断された方がいた場合、是非胆嚢の検査も試して欲しい。
今、謎の逆流性食道炎で苦しんでいて、でも何かおかしいなと思った人が1日でも早く、1人でも多く楽になれる人が増える事を祈って。
*追記:胆石を正確に見出すには、CTでは殆ど発見できないという事を学んだ。学んだって言っても、もう取っちゃったんだけどw
超音波エコーで凡そ胆石の有無の確認が出来て、どんな位置にどの程度あるのかはMRI検査でないと見つけられないとの事。
もし胆石の状態が大きくなっている…とか、もう既に長い時間の痛みがある方は、CTではなくMRIが確実なんだそうです。