『天使の翼』第12章(85)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「ほら、デビルも笑ってら!」
……わたしは、地元の人達は、さすがにデビルの行動、習性に精通している――長年の付き合いから、生態学者も馬鹿にはできない観察をしているのだと思った。
「お褒めの言葉と取っていいかしら?」
エリザの顔を覗き込む。
エリザが、大きく首をくねらせた。
広場がどっと沸いた――エリザが肩をすくめてしぶしぶ同意したように見えたのだ。
「そこのお兄さん、どうやらお許しが出たようよ――」
「あったりめえだ!」
わたしは、広場の空気を掌握していた。
「改めて紹介するわ――こちらは、『大年増』のエリザ――」
エリザが激しく抗議する。
広場の笑いは止まらない。
「口が滑ったようね……」
エリザが、顎の先でコツンと、優しくわたしの頭を突いた。これにはわたしも笑ってしまった。
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