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『天使の翼』第12章(86)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~

 少し間を置いて――
 「さあ、そろそろ歌わせてもらいます。……何でわたしがエリザと仲良くなれたのか?出会いの物語……そして、この鉱山への旅の物語!」
 わたしは、ギターを慣れた手付きでケースから出し、エリザの傍らで立ち位置を決めた。……いつの間にか、最初円を描いてわたし達を取り巻いていた観客……鉱山の住人は、半円を描いてわたし達の前に陣取っている……思い思いの姿勢で、立ったままの者もいれば、地べたに胡坐をかいている者も……この思わぬコンサートに出くわして、手を取り合ってる恋人同士も……あんぐりと口を開けて視線を釘づけにしている幼子も……
 広場は静まり返り、遠くで採掘機械の音だろうか、メトロノームのように一定の間隔で時を刻んでいる……
 …………
 風が鎮まるのを待って、わたしは、サッとギターの弦に指を打ち付けた――

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