『照葉樹の葉っぱは自然の暖房?』~生き物の知恵に学ぶ~
徐々に寒さが増し、空気の冷たさが意識される秋、私が自然の撮影によく訪れる白金台の国立科学博物館附属自然教育園でも、観察される虫たち、昆虫の姿はどんどん減っていく。そんな中、一つ気付かされることがある。様々な昆虫が、温かい太陽の光を浴びた照葉樹の葉っぱの上に止まって休んでいるのだ。
照葉樹の葉っぱは、葉の表面のクチクラ層(角質層)が発達して光が反射し、光沢の強い深い緑色の厚い葉をした常緑の広葉だ。本稿冒頭の写真(10月15日撮影)の葉っぱなどは典型で、その上に留まったチョウはウラギンシジミのオスである。いかにも暖かそうで、チョウがその体内に熱分を取り込み、ため込んでいるような印象すら受ける。
このような、虫たちが暖をとっているかのような光景は、あちこちで観察される。次にそのほんの一例を紹介しよう。
実際に葉の表面の温度などを測ったわけではないが、これらの虫たちの姿が日向ぼっこをしているように見えるのは私だけだろうか。
冷え込みが増していく中いかにして暖を取るか?
いきなり文明の利器、暖房に頼るのか?
それともサスティナブルで身近な再生可能エネルギーを考えてみるのか?
さらには、住居、建物にいかにして太陽光をとりこむのか?必ずしもすべての家、建物、部屋が日照条件の良い立地ではないなかでの工夫、設備、出来ること、等々……
照葉樹の葉っぱの上の虫たちに知恵を借りてみるのも悪くない。
昆虫の世界を見ていると、人間の社会が見えてくる。まさに、昆虫すごいぜ……おっと、これは某人気テレビ番組のパクリだ……「昆虫アッパレ!」とでも言っておこうか。
【以上、『随想自然』第22話】
(インスタグラムhttps://www.instagram.com/angelwingsessay2015/で、主に東京都心で見れる自然の写真を紹介しています。)