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『天使の翼』第12章(29)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
結論――SSIPの制帽・ロング・コート姿のわたしは、私物の肩掛け鞄とギター・バッグをはすかいに首にかけ、背中には水の入ったバッグをしょって、荒野へと一歩を踏み出す!
わたしのいた、岩場と砂地がパッチワークのようになった地帯を抜けると、湖岸はずっと先まで障害物のない砂浜ないし砂利浜だ。地面が柔らかくて歩きにくいのでは、という懸念は杞憂で、波打ち際から一定の距離をとって歩く分には、土は固く締まっている。
左は岩がちの平原、右は巨大な湖という風景の中、次第にまぶしさを増してくる正面の太陽の光を浴びながら、わたしは、ペースを乱さないよう自分の足音を聞きながら黙々と歩みを進めていた。抱え込んだ荷物の違和感は、もうない。