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『天使の翼』第12章(97)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
わたしは、ギターでメイン・テーマをひとしきり奏であげ、最後の九行をもう一度高らかに、そして次第にスローになるテンポで歌い上げた。
静寂――
聞こえるのは、寂れた鉱山街を吹き抜けていく風の音と、メトロノームのように物憂い掘削機械の音だけ……
インパクトが強すぎた時の沈黙は、突然終わることが多い。
この時もそうだった。
一人の男が、古ぼけたハンチングを空高く放り上げた――
「こいつは凄いぜ!」
一斉に、小さい物はバンダナから大きい物はジャンパーにいたる、ありとあらゆる物が放物線を描き、大歓声……いや、自分で言うのもなんだが、狂おしい絶叫のようなものが巻き起こった。