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『天使の翼』第11章(111)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
わたしは、急旋回を繰り返すエアカーの車内で目を回しながらも、ある考えに行きついていた――彼らの目的は、もちろん仲間の救出だろうが、SSIP、そしてうかつにも巻き添えとなったわたし達三人もひっくるめて、抹殺するつもりか?生け捕るつもりか?いずれにしても、わたし達は、何も行動を起こせず、SSIPの指揮官機の中にあって成り行きに任せるしかない……
わたしは、「散開して応戦せよ!」と絶叫している指揮官の声をうつろに聞きながら、シャルルの手を探った。ぎゅっと握り締める。彼は握り返してくれたがどこか力なく、彼の顔を見たわたしは、厳しく打ちのめされた。――アケルナル出立以来の長い使命の旅の中で、わたしは、初めてシャルルの表情に絶望の気配を感じた。彼は、決してわたしと視線を合わせようとしなかった――このような事態のありうることを予測できなかったことを恥じていたのだろうか……