IoT自販機という名の支店窓口

 この記事【サントリー、自販機で弁当販売 ランチ難民に救世主?】は、会社にある飲料自販機で日替わりの宅配弁当が予約購入できる、という自販機の新しい機能に関するリポートです。このような飲料販売以外の付加価値があるIoT自販機、便利になったものだ、と思ったものの、あまり深く考えることもなくそのままスルーするところでした。ハタと思い留まったのは、IoT自販機が弁当を販売する企業にとっての『支店窓口』だと気付いたからです。

 改めて、自販機導入企業・自販機設置企業・商品提供企業・従業員という4者の関係性を考えてみると――

▶IoT自販機の付加価値をめぐる4者の関係性(IoT自販機の場合)・・・・・・・・・(例えるなら)●自販機導入企業・・・・・・・・・・・地主●自販機設置企業・・・・・・・・・・・家主(ショッピングセンター)●商品提供企業・・・・・・・・・・・・・お店●従業員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・商圏内の近隣住民

――極論するなら、IoT自販機は、ショッピングセンターのようなもので、お店という名の機能をいくつか搭載した存在と捉えることが出来ます。

 この事は、お店、つまり商品提供企業にとっては、IoT自販機が支店窓口となって、今まで手が届かなかった商圏にリーチできるということなのです。窓口という表現を使ったのは、例えばお弁当の場合で明らかなように、IoT自販機で可能な販売形態が、日替わりの宅配弁当の予約購入、あくまで予約であって、その場でお弁当を作ってる訳でも、その場で商品と代金が交換される訳でもないからです――

▶商品提供企業にとってのIoT自販機●日替わり・・・・・・IoT自販機の販売スペース(=商品表示と購入ボタン)は限られており、日替わりが最適な商品提供方法と考えられる。●宅配・・・・・・・・・・宅配が原則。●予約・・・・・・・・・・宅配なので予約販売に限られる。●決済・・・・・・・・・・お客様の決済は自販機で完結。

――上記のような制約がありながら、最終顧客である会社の従業員にとってメリットのある商品が、IoT自販機での販売に適していると言えそうです。

 そこで、従業員をはじめとしたIoT自販機を巡る4者のメリット、UX(ユーザーエクスペリエンス)を記事を参考に整理してみると――

▶IoT自販機をめぐる4者のメリット、UX●従業員・・・(特に高層階だと)貴重な昼休みに往復時間をかけて外出するのは手間だし無駄。IoT自販機で宅配予約できれば、時間が浮き手間が省ける。・・・昼休み時のエレベーターやお店の混雑を回避できる。・・・近くに飲食店やコンビニがないので助かる。●導入企業・・・専用自販機を設置するだけで、商品注文の取りまとめや機械のメンテナンスはお任せできる。・・・従業員の反応いかんでIoT自販機の台数を増減できる。・・・従業員の福利厚生の一環として活用できる。●自販機設置企業・・・付加価値のあるIoT自販機でシェアを拡大したい。●商品提供企業・・・多箇所のIoT自販機に『無人窓口』を設けるという施策で、売上を伸ばせる。・・・IoT自販機が普及すれば、自社の販売する商品の販路を一気に広げられる。・・・例えば昼時の混雑が理由で来店されてなかったようなお客を新規に取り込める。・・・IoT自販機が繁盛してくれば、(出店経費ゼロで)新たに支店を出店したような効果が得られるかも知れない。

 IoT自販機は、その活用次第で、様々なモノ・サービスを販売する支店窓口としての機能を果たせそうです。IoT自販機という名の支店窓口は、そのUXデザイン次第では、自販機導入企業・自販機設置企業・商品提供企業・従業員という4者に大きなメリットをもたらすイノベーションとなるかも知れません。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33797900T00C18A8000000/

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