イノベーションのアイデアが生み出されるエコシステムを構築する
日経電子版の記事【ビームスを壊せ 社内事業コンテスト密着】は、新規事業、イノベーションのアイデアを生み出すための取り組みとしてのコンテストに関するリポートで、とても参考になります。
新規事業に繋がるイノベーティブなアイデアを生み、そして育てるにはどうしたらいいのか?――コンテストは確かに一つの施策ですが、一般論としては、課題もありそうです――
▶『イノベーション・コンテスト』の課題
(1)『やらされ感』満載
せっかくの『イノベーション・コンテスト』も、『やらされ感』満載
になってしまっては、何も取り組まないのと同じ。コンテストをいかに
盛り上げるのか、モチベーションを高める仕掛けが必要。
(2)『どうやって選ぶか』の問題
コンテストでは、挑戦者が本当にユーザーの心に刺さるプロダクト
(モノ・サービス)を提案しているのか、という点もさりながら、見る
側、選ぶ側、審査員も力量が問われる。プレゼン、伝え方が今一つで、
せっかくのいいものがうまく伝わらなかった、という事もあり得る。
審査に漏れた中に、本当に研磨する前の宝石はなかったのか?
(3)『手段の目的化』現象
『イノベーション・コンテスト』を開催する目的は、本質的には、
会社にイノベーティブなアイデアを生み育てる土壌、エコシステムを
構築することにあるはず。コンテストで醸成された機運が、その場限り
のお祭り騒ぎで終わることなく、日常業務の中に根付いていかなくては
意味がない。
上記はほんの一例ですが、この3つの課題を、コンテストの先にある本来の目的『イノベーションのエコシステム』の課題として捉えるなら――
▶『イノベーションのエコシステム』の課題と対策
(1)『自発性』
アイデアの自発的な提案を日常業務の一部にしてしまうような
デジタル・ツール、アプリを開発するなど、日常的に、ささやかな
オペレーションの改善から、それこそ、新規事業のアイデアまでが
収集され共有される環境を作る。
(2)『先鋭化』
そのようにして収集されたアイデアの中から、真にイノベーティブ
なアイデアに先鋭化し発掘するシステムが最も肝心。一部経営トップの
審査だけでなく、若い世代の意見、ユーザーコミュニティの反応、
さらには先入観のないAIによる審査など、多角的にふるいにかける必要
があるのではないか。
(3)『継続性』
コンテストは所詮机上演習に過ぎない。より踏み込んでハッカソン化
する、実際にアジャイル開発のサイクルに組み込むことで、『手段の
目的化』を回避する。