ガラパゴス化の回避~袋小路に入らない経営とは~
日経電子版の記事【中国の省人型コンビニ Amazon Go型へと舵を切る】は、先端的な分野で誤ったテクノロジーを選択することのリスク、ガラパゴス化の回避について改めて考えさせてくれます。
記事では、省人型コンビニの主流が、ほんの一年前には大はやりだった電子タグ(RFID)を活用したタイプ(従来のコンテナ型コンビニ)から、カメラとAIを活用したAmazon Go型の店舗へと置き換わってしまう可能性がリポートされています。
まず、両者の違いを対比してみると――
▶中国における新旧2タイプのコンビニ
●タイプ・・・・・・・・・コンテナ型コンビニ・・・・・・Amazon Go型コンビニ
●テクノロジー・・・電子タグ(RFID)・・・・・・・・AI+カメラ
+読み取りセンサー
●決済プロセス・・・出口近くで購入金額を・・・・誰が何を購入したかAIが
算出するセルフレジ 判定するレジ無し
●ユーザーのメリット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・決済プロセスがない
ウォークスルー
●店舗のメリット・・・初期投資が低い・・・・・① 購買行動データ(ユーザーの
属性・動線・離脱した商品など)
② RFIDを商品に貼り付ける
手間やコストがない。
こうしてみると、ユーザーの利便性に勝り、初期投資は高くつくものの、購買行動データが収集でき、RFIDに係わる手間とコストがない、長期的な収益に優れたAmazon Go型に軍配が上がるのは明らかで、システムがガラパゴス化する前に素早くビジネスモデルを転換することは大いに納得がいきます。
このケースから一般論として教訓が導き出せるとすれば――
▶ガラパゴス化を回避する経営
(1)ユーザーの利便性が最優先・・・先端的なテクノロジーを導入するに
当たっては、よりユーザーの利便性に優れた方をまず検討すべき。
ユーザーは、想像以上に面倒なコトを嫌う。
(2)従業員にとっての利便性も重要・・・導入すると煩瑣な業務の手間と
コストがかかるようなテクノロジーは中途半端に終わる可能性がある。
従業員の省力化にならないようなシステムは要注意。
(3)長期的なスパンでコストを見る・・・初期投資の低さにこだわるのは
かえってリスクになる。特に、データ収集に優れたテクノロジーは、
データの解析を通して新たなアイデアに繋がる可能性が高い。
(4)後発優位性に注意・・・一早く最新のテクノロジーを導入したサービス
を確立することは重要だが、日進月歩のテクノロジーにあっては、
往々にして後発優位性が見られるので、小さく始めて試行錯誤を繰り
返しながら徐々に拡大するリーンスタートアップ、アジャイル開発の
手法が求められる。
ガラパゴス化を回避するには、ユーザー目線・現場目線での利便性からブレることがない事が第一で、その上で、常に後発のテクノロジーの優位性にアンテナを張った試行錯誤が欠かせないと考えられます。
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