『天使の翼』第13章(9)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
マウンテンデビルは生来の飛行生物ではない。羽ばたいたってあの巨体が空に浮かび上がる訳ではない。どこか高所から飛び降りてグライダー飛行に移る必要があった。
『まさか殺しやしないでしょ。人間たちに稜線の縁まで運んでもらうわ』
確かにそうだが、相当に勇気のいる、覚悟の行動だ……エリザは、わたしのために最高のステージを用意しようとしている。
「エリザ!」
『泣かないでよ‼』
わたしは、エリザの逞しい首にギュッとしがみつくことでそれに答えた。