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『天使の翼』第12章(9)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
最後の瞬間、わたしは、湖面に向かってダイブした。泳いで岩の陰に入る。岩と岩の間から空を窺った。
その時にはもう、空飛ぶ物体の発する不吉な音は相当大きくなっていた……見られなかったろうか……わたしは、不安と恐怖に小刻みに震えている自分に気付く……
早くどこかへ行ってくれ、というわたしの願いもむなしく、未だ姿の見えない物体は……恐ろしく巨大な何かは、わたしが息をひそめる岩場のほとんど直上で停止した。
…………
とても長い時間が過ぎたように思えた。髪を滴った水が目に入った。拭おうと手をあげ――
金属が悲鳴を上げるような轟音とともに、まばゆい閃光が走った。
それは、あたかも光り輝く剣を突き立てるようにして、わたし達の乗ってきたSSIP機を直撃し、エアカーは瞬時に『蒸発』した……