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アリババに学ぶ『新小売(ニューリテール)』~ネットとリアルの融合の方法~

 日経電子版の記事【オムニチャネル最先端 デジタル技術駆使するアリババ】は――
 ①EC・リアル店舗で蓄積されたビッグデータをAIで解析し
⇨②最新のデジタル技術を活用して
⇨③オンラインとオフラインを融合させ
⇨④消費者・店員が効率的に『小売体験』ができるような仕組みを作る

――アリババの施策をリポートした力作だと思います。



 そもそも、ネットとリアルを行き来し使い分ける消費者の『買物体験』を、より消費者のインサイトに寄り添ったものにするにはどうすれば良いのか?具体的にどのようにネットとリアルを融合すれば良いのか?この記事の事例は最先端のとても参考になるものだと思います。

 さっそく記事から、そのようなネットとリアルの融合の方法をピックアップしてみると――

▶ネットとリアルの融合の方法

(1)画像検索エンジン「イメージサーチ」・・・リアル店舗を訪れた買物客
   が、気になる商品を見付け、ECサイトのアプリを立ち上げて、その
   商品をカメラに読み込むと、(その商品がECサイトで販売されて
   いれば)同一商品がアプリに表示され、購入ができる。
  ▶消費者のメリット
   ① ECサイトで見ただけで買うには不安なような商品を、リアル店舗
    で確認してから購入
できる。
   ② 他の店舗で見た商品・店舗以外で見た商品・友人宅で見た商品
    などにも使える。
   ③ ①②を、従来のように自力でECサイトで検索しなくても、カメラ
    で読み込むだけでストレスレスに
購入できる。
  ▶小売のメリット
     ネットとリアルの融合によって、成約率が向上し、投資を上回る
    利益が。

(2)アパレル店の等身大スクリーン・・・①スクリーンの前に消費者が
   立つと、スクリーン上のカメラが消費者の姿を読み込み、その消費者
   に合ったコーディネートを、あたかも服を着ているかのような画像で
   スクリーン上に表示。②消費者は、服のタイプ・色・体形などを、
   タッチパネル式画面で修正できる。③最終的に選んだ服の画面上の
   QRコードをECサイトのアプリで読み込んで購入したり、サイト上に
   見当たらなかったり試着したい場合は店員に指示が出る。
  ▶消費者のメリット
   ① 実際に試着の面倒を掛けずに、効率的に服を探せる
   ② 店員に煩わされずに、店員のアドバイスではなく、自分自身の
    納得感
でコーディネートを探せる。
  ▶小売のメリット
     店員は、全ての買物客に接客するのではなく、店員を必要とする
    買物客に集中
できる。

(3)百貨店専用アプリの配送サービス・・・店頭が在庫という位置付けで、
   自動走行ロボなども使って注文の入った商品を集め、24時間受付・
   配送料無料
で配送。
  ▶消費者のメリット
   ① ECサイトの購入履歴データの分析から、百貨店で扱うような商品
    を夜間に欲しいというニーズ
が浮かび上がる。
   ② 百貨店の高品質な商品を今すぐ欲しいというニーズ
  ▶小売のメリット
    リアルだけでは取り込めていない営業時間外・夜間のニーズ
   には行けないけど今すぐ欲しいというニーズ
を取り込める。
     
(4)コスメのARミラー・・ARミラーをのぞいた消費者が、ミラーに
   示されたコスメの種類・色などを指定すると、そのコスメを使って
   化粧されたように見える
。周囲の景色もそのまま鏡に写っており、
   そのコスメの実際の使用感が分かる。
  ▶消費者のメリット
   ① 実際に化粧する煩わしさ、時間のロスがない
   ② 周囲の風景も写っていてリアル
   ③ 百貨店では店員を呼ぶ必要があるが、他の商業施設ではECサイト
    と連携
も。
  ▶小売のメリット
    化粧にかかっていた時間をより効率的に使える。



 こうしてみると、どれも卓越したサービスばかりで、リアル店舗が、デジタル技術を活用し、ネットと連携することで出来るようになる事がいかに多いか分かります。
 逆に言うと、リアル店舗には、今まで取り込めていなかった様々なニーズ、消費者の不満、「こうだったらいいのに」という消費者のインサイトが、無人島に隠された宝の山のように眠っていた訳です。
 ビッグデータを解析するなど様々な手段で消費者のインサイトに肉薄し、ネットとリアルの融合したオムニチャネルによって出来る事、『新小売』のポテンシャルを掘り起こしていく施策の重要性が再確認できました。



#COMEMO #NIKKEI

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