『価格』のカスタマイゼーション~サービスの価格をユーザー自身で決める時代~
日経電子版の記事【「サービスを受けた利用者が値決め」の新事業が登場】は、短くさりげない記事ですが、そこでリポートされる「あと値決め」のシステムには、私達の消費生活における『価格体験』を大きく変えるポテンシャルがありそうです。
記事で紹介される「あと値決め」とは、「事前に決められた最低価格に満足度に応じた料金を上乗せする」仕組みです――
▶「あと値決め」=
「事前に決めた最低価格」+「満足度に応じた料金」
(1)満足度が低い⇨通常料金よりも安くなる。
(2)満足度が高い⇨高額になる場合も。
(3)提供されるサービスの質が分かりにくいようなサービス
⇨足を向けづらく、どうしても通い慣れた店に行ってしまう。
⇨「あと値決め」のサービスがあれば、納得した価格で払える。
⇨初回利用のハードルの低減⇨新規顧客の獲得。
こうしてみると、「あと値決め」のシステムのユーザーにとっての最大のベネフィットは、提供されたサービスに対する『評価』体験である、と考えられます。あるサービスがユーザーにもたらす体験、UX(ユーザーエクスペリエンス)には、サービスの質に対する感動、サービス提供者に対する感謝などの『評価』体験が含まれますが、「あと値決め」のシステムでは、それを自分で決めた『価格』でもって表現できるのです。
つまり、「あと値決め」のシステムとは、『価格のカスタマイゼーション』である、と考えられるのです。
今、私達を取り巻く消費生活においては、『価格体験』の『固定』から『変動』への潮流が加速しているのではないでしょうか?価格は、がっつり決められ『固定』されているのではなく、私達ユーザーの状況に応じて『変動』するのです。
その意味で、最近話題の『ダイナミックプライシング』などは、「あと値決め」の場合とは少し違って、提供者の側から私達に「今なら(その時には)〇〇円でいいですよ」と『変動』する価格をレコメンドしているので、ある種の『価格のパーソナライゼーション』である、と言えます。