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『イノベーションのエコシステム』としての企業

 少し前の日経電子版の記事【「トラスト」欠いたゴーン元会長 結合なき経営の限界】は、一般論として、グローバル時代のリーダー像を考える良い機会を与えてくれました。


 詳細はその時の考察(拙稿「『イノベーションのエコシステム』と『リーダーのスキル』~リーダーはイノベーションという進化を促す淘汰圧~」)に譲りますが、「第4次産業革命の時代のリーダーのスキルとは、会社をイノベーションのエコシステムへと変貌させ、イノベーションという進化を促す淘汰圧(選択圧)のようなもの」というのがその結論です。


 『リーダーのスキル』がどのように機能しているかで、その企業の『イノベーションのエコシステム』の実態が推し測れるという趣旨ですが、その指標となるスキルには5つあって――

『イノベーションのエコシステム』を作り出す『リーダーのスキル』

①『アンティシペート anticipate』・・・変化に俊敏に反応して、課題として
                 社内に徹底する。
②『ドライブ drive』・・・社内に課題へ積極的に対応しようという空気を
           醸成する。
③『パートナー partner』・・・広く社内外と協力し、課題解決へ向けた
             アイデア交換を活性化する。
④『トラスト trust』・・・ダイバーシティな力を結合へと導く。
⑤『アクセラレート accelerate』・・・イノベーションのアイデアを素早く
               (アジャイルに)実行する決断と責任。


 その後、折に触れて、この考え方で企業というものを見るようにしていたのですが、なかなかリーダーのスキルが網羅的に浮き彫りになっているようなサンプル、記事はないな、と思っていた時に出会ったのが、日経電子版の記事【LINE出沢社長「打率1割でもいい、本塁打狙おう」】です。


 さっそく、この記事の内容から、上記リーダーの5つのスキルに符合する部分をピックアップしてみると――

▶LINEの事例に見るイノーベーションに繋がるリーダーシップ

①『アンティシペート anticipate
 ・・・キャッシュレス・・・キャッシュレス時代を見据えた銀行業への参入。
           ・・・スマホユーザーに最適な銀行サービスを
           リデザイン。
 ・・・音声UI・・・これからの時代の主流とも言われるAIによる音声UIを
       見据えて、AIアシスタント「Clova(クローバ)」に注力。

②『ドライブ drive
 ・・・5年後目線から逆算・・・記事より「我々が意識しているのは5年後の目線
  です。5年後の当たり前から逆算してサービスを設計します」。
 ・・・ヒットの法則・・・記事より「ヒットするかどうかはイチかゼロかに
  近い。はやるものはすぐはやる。市場を定めるよりは良いプロダクトを
  作ることに集中したほうが、結局は大ヒットにつながりやすいと経験的
  に学んでいます」。

③『パートナー partner
 ・・・記事より「当社はトヨタ自動車と共同で、自動車向けの音声
  アシスタント『Clova Auto(クローバオート)』を提供します」。

④『トラスト trust
 ・・・外国人の積極的採用・・・京都に技術開発拠点『LINE KYOTO』を設置。
 ・・・英語公用語化
 
・・・新しいことにチャレンジし続ける企業姿勢・・・IT人材獲得の一番の
                       ポイント。

⑤『アクセラレート accelerate
 ・・・世界に打って出る・・・世界で戦えるポテンシャルがあるうちに打って
            出ないと空洞化してしまう、という危機感


 こうしてLINEのケースを通して見てみて、改めてイノベーションの生まれる企業、イノベーションのエコシステムの出来ている企業というものに、リーダーの果たす役割の大きさを実感しました。


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