反動のUXデザイン

 この記事【不健康でも食べたい 「悪魔級」の食品がヒット】は、変化し続けるコンビニ商品にヒットの秘密を探る「定店観測」リポートです。ヒット商品を探るのに、商品の変化の激しいコンビニを定点観測するというのは、アイデアだと思いました。

 記事からヒット商品の事例を整理してみると――

▶好調商品の事例(1)キーワード『悪魔級』①商品例:「国産鶏サラダチキン アクマのキムラー」      「デビルズチョコミントケーキ」②『悪魔級』のポイント●やみつきになる『悪魔級』の美味しさ。●健康志向(カロリー・糖質量など)にとらわれない。●不健康でも食べたい、など。(2)キーワード『ダブルチョップ』・・・製造業者の名前と流通業者の名前を両方前面に出す。①商品例:ファミリーマートコレクション「ちょっと堅めのカラムーチョ ホットチリ味」②『ダブルチョップ』のポイント●メーカー名のある安心感。●NBのブランドファンの目に留まる。●NB商品の品揃え少なくても、ダブルチョップならある。●容量少な目だが値頃感ある(100円など)。●NB商品をベースにしたPB商品の独自性ある味・品質への期待感。

 これらの事例から浮かび上がってくるのは、主流である『健康志向』・『PB化』への反動、消費者の『健康志向疲れ』・『PB飽き』だと考えられます。物事が一つの傾向、流れに傾斜すると、しばらくしてそれに対する反動が出てくるのは人間の性のようなものだと思います。そこを捉えたUXデザインが、美味しいものを思う存分堪能したいという消費者の最も基本的、素朴な欲求を満たしている、と言えそうです。

 そして、『悪魔級』が健康志向を捨てて美食を追求するというコンセプトなのに対して、『ダブルチョップ』には、NBとPBの良いとこ取りをするという特徴があります。一口に『反動のUXデザイン』と言っても、その手法には、対立する概念の取捨選択か良いとこ取りかといった違い、工夫が見られます。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34453850S8A820C1000000/

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