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エポックメイキングなトヨタの宇宙進出~民間宇宙時代のエコシステムをアクティベート~

 日経電子版の記事【月面探査車 トヨタ始動 JAXAと開発へ「官から民」加速 過酷な環境で自動運転】には心躍るものがあります。もちろん、宇宙開発のロマン、という事もありますが、民間が普通に宇宙に進出していく、『民間宇宙時代』の本格的な幕開けを予感させるからです。


 トヨタの寺師副社長とJAXA理事で宇宙飛行士の若田光一氏が掲げる「有人与圧ローバ」のイメージボードを見た第一印象は、率直に「かっこいい!!」でした。まるでSF映画から飛び出してきたようなフォルムは、どこから見ても本格的なものです。

 トヨタという日本を代表する大企業が、本格的に宇宙事業に参入してきた事の意義には、計り知れないものがある、と思います――


(1)『民間宇宙時代』の呼び水

 今まで宇宙とはあまり縁のなかった大企業が、ブルーオーシャンに飛び込んだ、という事は、事業達成のために大中小様々な企業を巻き込む呼び水となって、コラボレーション、そしてイノベーションが起きる舞台ができた、という事を意味します。つまり――

 トヨタの宇宙参入によって、『民間宇宙時代』のエコシステムが起動したのです。


(2)民間参画によって開発が加速

 宇宙開発に数多くの民間が新規に参画することで、民間の開発効率が持ち込まれ、開発期間や開発コストの圧縮が進むばかりでなく、アイデアとアイデアの結合によるイノベーションが開花する、と考えられます。つまり――

 『民間宇宙時代』のエコシステムは、同時にイノベーションエコシステムでもある、という事です。


(3)極限環境での開発が革新を生む

 一早く過酷な宇宙環境でのビジネスに参入した企業は、今までにない革新的なテクノロジーやシステムの開発に成功した時に、そのナレッジを地上でも応用することで、圧倒的な優位に立てるポテンシャルを獲得する、と考えられます。つまり――

 『民間宇宙時代』には、過酷な宇宙環境こそがイノベーションの開花する舞台、最前線となる、という事です。


 このように、宇宙開発に民間が積極的に参入する『民間宇宙時代』は、民間の参画によって強化された宇宙開発のエコシステムが、宇宙開発のみならず、あらゆるテクノロジーのイノベーションの揺籃となる時代である、と考えられます。

 後から人間の歴史を振り返った時、トヨタの宇宙本格参入が、エポックを画した、と言われる日が来るのかも知れません。かつて、南極に次々と各国の基地が作られたように、月という次なるフロンティアに各国の月面基地が作られ、それらがハイウェイで繋がれるような日が来るのでしょうか。

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