かけっこ練習ノート - ラダートレーニングってなんでやるの?
4月15日(木)13名
今日は「ラダートレーニング」と「サイクリング動作」というテーマからみんなに好きな方を選んでもらいました。
…のはずだったのですが、ラダーという楽しそうなおもちゃに魅かれて、みんなラダートレーニングを選んでいました(笑)
サイクリング動作については、来週以降にまたやりたいと思います。
ラダートレーニングって?
ラダーを使ったことのある人はどれくらいいるでしょうか?
メンバーの3分の1くらいが経験したことがあるとのこと。
ラダー(はしご)とは、2本の平行線に横線が一定間隔で並んでいることで、四角がたくさん連なっているように見える紐上の器具です。
ラダートレーニングの動きだけをみると、このたくさん並んだ四角に対して一定の規則に従って繰り返し素早くステップしています。
目的がわからずやらされる
ところで、このラダートレーニングをする時って、いきなり動きのお手本を見せられたうえで、
「さあ、やってみよう」ということが多いのではないでしょうか。
僕も学生の時にそういう場面を何度も経験しました。
その度に、この練習に何の意味があるのかは全くわからないまま、ある動きだけが素早く動けるようになって、それでお終いでした。
ラダートレーニングの動き自体は、走る動作はもちろん、サッカーや野球、バスケなど、どの動きとも異なるものに思えます。
なのに、どうしてこんな奇妙な動きを速くする練習をするのでしょうか。
「足を速く動かせるようにするため」
という意見がありました。
でも、足を速く動かせるようになりたければ、現実に必要な動きの中で速く動かすトレーニングをした方が効率的では?と思います。
例えば4の字の動きを速くしたければ、実際に4の字の動きを速く練習するのがいいと思います。
なにもラダーを使って、ちょこちょこと細かい動きで練習しなくても…。
脳の信号と運動神経
いつも言うように、練習は目的を理解することが大切ですね。
僕はラダートレーニングの目的は、「脳からの信号を正確にたくさん出す」ことにあると思っています。
どういうことでしょう。
そのイメージを持ってもらうために、メンバーの一人(A)に実験台になってもらいました。
僕はAに指示を出します。
「右足をあげて」
「前に体重を傾けて」
「右足をさげて」
「左足をあげて」
「前に体重を傾けて」
「左足をさげて」
Aは僕の指示通りに動いてくれ、結果としてゆっくりですが2歩前に進みました。
このときイメージとしては、僕は脳で、Aは体です。
脳である僕は、体の様々な部位に信号を出して、それを受けてAは動きました。
ただ、Aの動きはひどくぎこちなく、とてもゆっくりでした。
でも、それはAのせいでしょうか?
いえ、脳である僕の指示のせいです。
僕がもっと細かく、的確に指示を出せていたら、Aは滑らかに、速く歩くことができたでしょう。
これが伝えたかったことです。
体は脳の信号の通りに動いているだけです。
体がイメージしたように動かないとき、それは脳から出る信号が正確でないか、必要な数の信号が出ていないか、またはその両方なのだと思います。
思い通りの動きをするために脳が正確かつ必要な数の信号を出す。
この能力が高いと、人の動きをすぐに真似できたり、イメージした通りに動くことができます。
つまり、この能力こそが運動神経なのだと思います。
生まれつきこの能力が高い子もいますが、脳自体の構造は誰でも同じですので、トレーニング次第でこの脳の信号を出す機能(運動神経)は鍛えられるのです。
これは生涯にわたって全てのスポーツに使える大切な能力ですよね。
ラダートレーニングの目的
前置きが長くなったので、話をラダートレーニングに戻します。
そう、ラダートレーニングの目的は、「脳が正確にたくさんの信号を出す」ことなのです。
小さな四角の中にピンポイントで足を素早く置く。
そのためには重心もタイミングよく移動しないといけないし、腕も動かさないとバランスを崩してしまいます。
脳はたくさんの指示を一瞬の間に出さないといけません。
スーパーコンピューター並みにすごいことです。
ラダートレーニングで色々な動きを繰り返すことで、脳は膨大な指示を正確に速く出すトレーニングをしているのです。
なので、ラダートレーニングをしていると最初はかなり頭が疲れます。
ちょっとした勉強よりもよっぽど疲れます。
気を付けないといけないのは、決してラダートレーニングの動き自体をマスターしようとしているのではないということです。
ですので、様々な動きを、かわるがわるやった方がいいと思います。
また、このトレーニングは1日だけやったからと言って脳が鍛えられるわけではありません。
日々の反復練習が大切です。
別にラダーでなくても、日々の生活の中で、色々難しそうな動きに挑戦して、それを正確に速くやればいいのです。
まさに、子どもが理解不能な動きをして遊んでいるのがそれですね。
子どものそんな遊びを邪魔してはいけないと、改めて思いました。
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