
UNVの10ヶ月を各月で振り返り(後半)
みなさん、こんにちは。
今回はUNVの10ヶ月の後半戦で、できるだけ詳細に振り返ります。
質問等はXのDMでいただけると、スムーズだと思います!
1月
日本でお正月も存分に楽しんで、再び勤務国へ出発。
またもや、エチオピア航空にお世話になりロングフライト。
今回は修士論文を書く必要もなかったので、お酒も飲んで自由気ままに過ごすフライト。楽しい〜。
そして、再度オフィスに出勤して思い知る現実。
スーパーバイザーはいなくて、調達の同僚も一人やめたから、チームリーダーと2人体制になったんだった。。。
フランス語は自信ないけれども、もう自分も日々の調達業務に関わっていかないと、オフィスが回らなくなって行っている状態。もうやるしかない。
と、ここから、フランス語を使っての仕事が大幅に増えることになりました。
事務所の代表も年末年始のバカンスから帰ってきて、早速開かれた全スタッフ会議。
今年行われる予定のプロジェクトについてのおさらいと、人事補填計画についての説明がありました。
その中で、サプライズ発表。
「アツシの任期を延長させることにした。調達スタッフの増員はなし。」
周りのスタッフは拍手を送ってくれる。
(え、Yesって言ってないけど、決まり?、フラッシュモブで告白しちゃいけないやつと同じ状況。断りづらい、、、)
その場では、「ポジティブに考えます」と回答するも、調達チームリーダーは大喜び。
実は、僕の知らないところで、代表に話をしてくれていたようでした。
(ありがとう、、、でも、もうちょっと考えさせておくれ、、、)
というサプライズはありましたが、2024年のプロジェクトのサマリーが報告されたため、各プロジェクトチームは、年間の活動計画を作成することになります。
それに合わせて、プロジェクトチームに年間の調達計画を提出してもらい、調達チームは、どうやって効率的に調達活動を実施していくのか検討をしていきます。
昨年度実績では、ほとんど調達計画は作成されなかったかつ、今年度は調達スタッフ2人で回すことになりそうなので、どうにかして年間の調達計画を早めに正確に作ってもらいたい。
ということで、鬼のリマインダーに扮し、毎週のように調達計画作成依頼を送っていたのですが、気持ちは届かず、、、
仲良くしてくれているスタッフは調達計画を提出してくれたものの、提出率は約20%、、、
足りないよぉぉぉぉぉぉぉぉ、、、、、
2月
2月はキャリア関連で怒涛の日々でした。
まず、最初のお悩み。JPO試験を受験するか否か。
調達領域ではそこそこの経験値もあるし、UNVの経験もあるので、調達関連の案件をJPOで受験するのは手堅い選択肢だし、周りの人たちからも大いに勧められました。
一方で、修士号は貧困と開発で、民間企業のビジネス展開と雇用に関する研究を行っていたのもあり、より修士号の内容に近い領域でプログラムスタッフとして働きたい思いもある。。。
イギリス留学のためにとったIELTSのスコアの有効期限が切れてしまっているのでTOEFLを受けたり、JICA関連のポストに応募してみたり、手探りで色んな可能性を探っていました。(このTOEFL受験がとても大変で、ネット環境が悪い国でTOEFL iBTテストは無理!)
そこで、やってきたチャンス。
「直近でポストが空くんだけど、興味ない?」
と、他のUN機関で働く友達から連絡をいただき、そのポストがドンピシャで興味のある領域だったので、二つ返事で「興味あります!!!」と返事をし、あれよあれよと選考通過し、任期終了直後から新しいポストでの業務開始というスケジュールで内定をいただくことができました。。
悩みからの解放。
とりあえず、内定が出たことで精神的にも安定しました。
そして、仕事の面でも、同僚と二人三脚で調達業務を進めていく上で、信頼関係や業務の役割分担が見えてきて、僕が調達規則やそれに則った書類の作成を行い、同僚が取引先とやり取りをする形で、いいリズムも生まれてきました。
このいいリズムがうまれ、お互いにいい気持ちで仕事をしている中、言わなければならないあの話。
ずるずると引っ張っても仕方ないので、次の仕事の内定が出たことを同僚に報告。
「俺はもっと一緒に働きたいから、もう一度任期延長を考えてくれないか。」
と、まっすぐな目で言ってもらい、苦しい、、、
このくらいの時期から、新しい施策に取り組んだり、プログラムの仕事に入れてもらったりと、業務に関係ないことにも関われるようになってきました。
チャレンジ大歓迎といったオフィスで働けており、代表からも心強いサポートにも本当に感謝しています。

3月
2週間くらい、色々な人に相談しながら、今後のキャリアを考えていく上で、やはり早いタイミングで新しい領域にチャレンジしたい。このチャンスを逃したら次にいつ似たようなチャンスが巡ってくるかわからない。
よし、任期延長はせずに、新しい仕事にチャレンジしよう。
3月上旬に意を決めて、事務所の代表に、「新しい仕事のオファーをもらうことができたから、任期の延長はせずに、今の任期を満了するまで働く」と伝えたところ、
「もし、スタッフポジションを用意するって言ったら、残留してくれる?」
と、とてつもなくありがたいオファーをいただくことができました。
この件については、すぐに回答を出さなくてもいいから、まずはもう一度延長を考えてほしい。オフィスとしても、すぐに新しい調達スタッフのリクルートを始めるから、引き継ぎまでやってほしい、という話をいただきました。
そうしているうちに、3月中旬に入りラマダンに突入。
オフィスアワーも短縮され、みんなバカンスでおやすみ。
業務はスーパースローペースになりました。
このタイミングで、ずっと片手間になっていた調達案件のまとめや改善施策、足元の業務だけではない調達業務をまとめたり、やりたいと思っていたことを着々とこなすことができました。
そうこうしているうちに、ビザが切れてしまうタイミングが近づき、滞在期間延長を試みましたが、国内での延長申請はもうできない(謎)と当局から言われてしまったので、急遽出国が必要に。
せっかくなら、旅行しようと、大学院時代の友人に会いにトルコへ週末を使って旅行しました。
久々に会う友人との会話は本当に楽しくて、同じく国際開発の世界でチャレンジする身として、色々な話ができる友人がいることに本当に感謝でした。
トルコもイスラム系の国で、ラマダン期間中のはずなのに、なぜかみんな昼からご飯食べてるし、タバコも吸っている。
ムスリムの国でも、信仰にはグラデーションがあることを実感した面白い旅行だったかつ、働いている国は、だいぶ敬虔なムスリム国であることを実感した時間でした。

4月
4月に入っても、引き続きラマダン期間中。
同僚もバカンスに入って、1人体制になってしまったものの、オフィスの業務はハイパーローペースなので、全く問題なく一人で回せる。
一方で、こんな状況であっても、一人で調達部門を回せるようになったことに嬉しさを覚えた時期でもありました。
そこに舞い込んだ巨額調達案件。
オフィスでは承認ができず、地域事務所の調達委員会レビューを通過しなければならない案件が突如やってきました。(いつも案件は突然に。)
地域事務所の調達委員会レビューは、きちんとした調達プロセスが実施されており、イレギュラーなプロセスが含まれる場合は、それの妥当性を証明する書類の準備が必要だったりと、膨大な資料を準備しなければならず、オフィスとしても数年ぶりの委員会レビュー。
オフィスで働くメンバーの中には、他のカントリーオフィスで経験はあっても、このオフィスでレビューを受けた経験がある人がおらず、地域の調達アドバイザーに意見をもらいながら、プロセスのプランを練って、一つ一つ丁寧に準備を進めていきました。
委員会レビューは週に一回実施されていて、不十分な場合は再審議となり、翌週に議論が回されてしまうのですが、まさかの一発通過。
これには、オフィスの代表も驚いていて、関連する人たちみんなで通過を大喜びしました。
僕としても、準備していたことがきちんと認められて、オフィスの一員としてオフィスに貢献できていると実感することができた、大切なイベントとなりました。

また4月中旬には、1ヶ月に及んだラマダンも終わり、オフィスのインターナショナルメンバーたちで、Eidのお祝いご飯を食べに行きました。
これで、長かった断食期間も終わる!深夜のアザーンからの解放!
イスラム圏で働くことの大変さを思い知った1ヶ月でもありました。

5月
そうこうしているうちに、最終月に突入。
ここでようやく、後任ポジションがオープンになります。
後任ポジションは、ローカル採用で「フランス語と現地語が必須、英語が出来れば可」という言語要件に。フランス語も現地語も分からない日本人を採用してくれた今のオフィスに大感謝しつつも、「こんな言語要件が出るポシションでよく頑張ったわ。」と自分を慰めました笑。
しかし、後任ポジションが5月にオープンしたということは、後任が採用されるのは、早くても7月。つまり、来月からオフィスの調達スタッフは1人体制になってしまう。。。
足元の仕事をこなしつつも、1人体制となっても業務が回るように、引き継ぎの資料作成やマニュアルの作成に精力的に取り組み、同僚に説明しながら誰でもわかりやすいマニュアルの作成や、資料まとめを行いました。
UNVの離任時には、チェックアウトリストというものがあり、その中にパフォーマンス評価を上司からもらうというものがありました。
上司にお願いすると、ちゃんと評価をしたいから1週間くらい時間が欲しいと言われ、何を書かれるのだろうとドキドキしていたら、まさかの全項目最高評価。
コメントもとてもポジティブに書いてくれて、本当に素敵な環境で働かせてもらえていたことに胸がいっぱいになりました。
また、5月中旬に、オフィスでリトリートと呼ばれる、スタッフの研修旅行という名の慰安旅行が計画されることが代表から発表されました。
「Atsushiが離任しちゃう前にやろう!」と言ってくれ、またまた胸がいっぱいに泣
しかし、リトリートの日程は5月28日から30日の2泊3日。僕が出国するのは5月28日。
あれれ。。。おかしいな。。。笑
5月末までの任期だと思っていたようで、まさかのニアミス。
ビザの都合上、僕の出国日は遅らせることができず、リトリートの日程の調整もつかなかったため、残念ながら欠席に。
その代わりに、最終出勤日には、サプライズでフェアウェルランチをやっていただくことに。
「フェアウェルランチをやってもらえるのは、マネージャークラスと、大きな功績を残した人たちだけだからね」と。。。
もう!ありがとう!愛してるよオフィスのみんな!!!

フェアウェルランチ後も、いろんな同僚が挨拶をしにきてくれ、調達の同僚は「Atsushiがいなくなったら、俺はどうすればいいんだ。寂しいよ」と。好き!!!
「フェアウェルランチでは、そんなに喋れなかったから、夜ご飯行こうよ!」と、その日の夜も同僚にフェアウェルディナーを開催いただき。好き!!!
とても素敵な環境で働けていたのだと、改めて実感する最終出勤日でした。

出国日には、同僚だけでなく、フランス語の先生やクラスメイトからもメッセージをいただき、泣く泣く空港へ。
空港までは、半年間お世話になった、タクシードライバーに乗せてもらい、「お代はいらないよ。また、帰ってくる時には僕が君を乗せるからね。」と。
嬉しい心的ダメージMAXで飛行機に乗り込み、任地を後にしました。。。
終わりに
10ヶ月間という短い期間でしたが、いろんな人に支えられて乗り越えられた10ヶ月でした。
正直に言うと、楽しい時間よりも辛い時間の方が多くて(調達という専門性と僕の興味関心分野とのギャップ、ローカルスタッフとの関係構築、就活、生活環境、宗教観など)、心が折れそうな場面は何度もありましたが、任地の人々の優しさに救われ、どうにか任期満了することができました。
特にJICAの皆さんには、本当にお世話になりました。JICAの集まりに呼んでいただいたり、ご飯に誘っていただいたり、気にかけていただいたり、最後は送別会を開いていただき、、、
業務上では関わりが一切なかったのですが、孤立しないようにコミュニティに受け入れてくれたことは本当に感謝しています。
パラグアイの時も、トンガの時も、JICAの方々にはいつもお世話になってばかりで、いつかこんな素晴らしい方々と一緒に仕事をしてみたいと思う出来事がいっぱいありました。
UNVは、ボランティアという名称ではありますが、実際に有給で一人区として働かせてもらえるため、国際機関のエントリーポイントとして、とても良い機会であると思います。
UNVにチャレンジできる機会がある方は、ぜひ積極的に挑戦していただきたいと思える、お勧めしたいプログラムです。
ご質問等あれば、OBとして喜んでお答えいたしますので、ご連絡ください。
ここまで読んでいただきありがとうございます!