コーヒー好きな方に朗報です。
コーヒーは、数多くの研究から健康にとって有益であることが明らかになっています。
はじめに
そんなコーヒーについて、今回は生活習慣病の代名詞とも言える『2型糖尿病』との関連性をみていきます。
ちなみに最近は、2型糖尿病とは呼ばず❝ダイアベティス❞と呼称するように、日本糖尿病学会と日本糖尿病協会が2023年9月22日に提案しました。
糖尿病への偏見や差別をなくすことが目的だそうですが、正直、医療者にとっても「分かりにくい」と感じてますし、まだまだ浸透してません。
とはいえ、痴呆が認知症へ、精神分裂病が統合失調症へ、TwitterがXに変わったように、慣れていくものなのでしょう。とりあえずこの記事では、従来どおりの呼称でいきますね。
さて、そもそもコーヒーが苦手で飲めないという方もいらっしゃると思いますが、そういった方も「コーヒー好きの方に朗報がある」とお伝えするためにもお付き合いいただければ幸いです。
健康を意識してコーヒーを飲んだことはありますか?
皆さんはコーヒーをどんなときに飲みますか?
そして、健康に良さそうと意識してコーヒーを飲んだことはありますか?
コーヒーを健康に良いからと飲まれる方は少なく、多くも方はこんな時に飲むのではないでしょうか。
眠気覚ましや集中したいとき
ほっと一息入れたいと思ったとき
仕事に疲れてリラックスしたいとき
家事をしたくないとき、口がさみしいとき
ドライブ中の気分転換や食事のお供に
など、他にはどんなときに飲みたくなりますか?
余談ですが、冷静に考えてみると…こんな茶色に濁った飲み物って飲んで大丈夫かな?と思ってしまいますよね。初めてコーヒーを飲んだ人って勇気ありますよね(笑
普段、ぼく自身は、朝食のときや昼からの仕事にもう一息入れようとしたときにコーヒーを飲みます。さてさて、そんなコーヒーと健康の関連性について深掘りしていきましょう。
コーヒーの摂取は2型糖尿病の発症リスクを下げる
近年、多くの研究より、コーヒーは身体に良い影響を及ぼす可能性があることが明らかになってきました。
国内外から数多くの研究論文が出されており、コーヒーの良い点・悪い点が浮き彫りになってきたんです。
この記事では、コーヒーと健康について研究結果も交えて紹介していきます。日頃、何気なく飲んでいるという方も多いと思いますが、そんなコーヒーが身体にとってどんなどのような影響があるか見てみましょう。
今回は的を絞って”2型糖尿病”に焦点を当てていきます。
2型糖尿病ってどんな病気?
2型糖尿病は、生活習慣の代表格で、多くの場合は日常の食べ過ぎや運動不足、生活の乱れが積み重なって発症します。また、予備軍も含めると国内に約1,000万人以上いると推定されています。
単純に健康な人よりも『血糖値が高いだけでしょ?』と思われる方もいるかもしれません。
確かに、血糖値が高いだけでは痛くも痒くもないので何で治療しないといけないのかわからないという患者さんによく遭遇します。
ところが2型糖尿病は、
・目が見えなくなる『糖尿病性網膜症』
・腎臓の働きがわるくなる『糖尿病腎症』
・全身のさまざまな神経の働きが悪くなる『糖尿病性神経障害』
といった3大合併症を引き起こすことがあります。
さらに、心筋梗塞のリスクは2~5倍、脳卒中のリスクは2~3倍高くなることが報告1)されています。
血糖値が高いというだけで、他にもたくさん悪さするんです…
コーヒーの摂取と2型糖尿病に関する研究結果
1.肯定的な意見(海外データ)
『カフェインありでも、カフェインなしでもコーヒーは糖尿病発症リスクを低減と関連している』そんな研究結果があります。
しかも、この関係性は、性別、欧州、米国、アジアの集団で一貫性があったとしています。
そして、具体的にどのくらいの効果があったかいうと、コーヒーを全く飲まない場合と比較して、1日6杯のコーヒー摂取は2型糖尿病のリスクを33%低下させることが報告2)されています。
また、別の研究では、コーヒーを飲む量が1日1杯増えるごとに、2型糖尿病の発症リスクが6%低下させることが報告3)されています。
へぇ~、でもどうせ外人さんのデータが多くてあんまり日本人には関係いないんじゃないの?と思った方は次の段落へ
2.肯定的な意見(国内データ)
あるんですよちゃんと日本のデータが。
40~69歳の被験者55,826人を10年間追跡した調査があります。10年間も追跡調査するとは、かなり根気の入った研究4)ですよね。
この研究によると、コーヒーを飲む回数が1日3~4杯の人は、ほとんど飲まない人と比べて、2型糖尿病の発症リスクが男性で17%、女性で38%低下することを明らかにしました。
さらに、紅茶やウーロン茶を飲む習慣がある人にはこの傾向が無かったという点で興味深いですね。
コーヒーと健康とのいろんな関係について
他にもたくさんのコーヒーの健康効果についてのデータがあるわけです。
自身のXで呟いてないか探したらあった。
コーヒーナップは使えるテクニックですね!
パーキンソン病、アルツハイマー病、脂肪肝、肝臓がんなどのリスク軽減はありがたい。
高齢者の肺炎リスクも下げるとは…
大腸がんのリスク軽減因子の一つにコーヒー
じつは便秘解消にもいいかも。
まとめ
ここまで国内外の研究からコーヒーと2型糖尿病の発症予防とその他健康に関するデータをお示ししました。
数多くの研究でコーヒーを摂取することは、2型糖尿病の発症を抑制につながることが立証されています。
他にもコーヒーに関する研究は、たくさんあるので注目したいですね。
ただ、2型糖尿病を発症させないためには、
1.基本的には食事内容を見直すこと
2.規則正しい生活をすること
3.運動習慣をつけること
が何より重要ですので誤解のないようご注意ください。
そして、2型糖尿病を発症してしまった方がコーヒーを飲むと治るというものではありませんのでその点もご注意くださいね。
参考文献
Nathan DM. Long-term complications of diabetes mellitus. N Engl J Med 1993;328:1676–1685
DOI: 10.1056/NEJM199306103282306M Ding, SN Bhupathiraju, M Chen, RM van Dam, FB Hu, Caffeinated and Decaffeinated Coffee Consumption and Risk of Type 2 Diabetes: A Systematic Review and a Dose-Response Meta-analysis, Diabetes Care 2014 Feb; 37(2): 569-586.
DOI: 10.2337/dc13-1203M Carlström, SC Larsson, Coffee consumption and reduced risk of developing type 2 diabetes: a systematic review with meta-analysis, Nutrition Reviews,2018;76(6):395–417
DOI: 10.1093/nutrit/nuy014M KATO, M NODA, M INOUE, T KADOWAKI, S TSUGANE, Psychological Factors, Coffee and Risk of Diabetes Mellitus among Middle-Aged Japanese: a Population-Based Prospective Study in the JPHC Study Cohort, Endocr J 2009;56(3):459-468
DOI: 10.1507/endocrj.K09E-003