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同期の彼 14

平日、水曜の夜。
僕はジミナの2人でタコ鍋を突きながら
飲んでいた。
「ジミナ、アツに秘密の話って何?」
「ん?別に秘密ってほどの話でもないけどさ、いつも何かあると月曜日には俺に報告があるんだけど、今週はなんだか元気ないし、聞いても何も話さないからさ、結婚式の時に何かあったのかな?って俺なりに心配してたんだよ。」
「ほう…確かに元気ないよね」
「実はさ彼、あの日指輪持ってきてたらしいんだよね」
「えっ⁈指輪?」
「そう。向こうで落ち着いたら一時帰国して渡そうと思ってたんだって。」
「マジで?」
「うん。とりあえず駐在に出る時はどうなるかわからないから、待たないで欲しいっていわれたんだよね。」
「フラれたのーっていってたもんね」
「でも、あっさりイケメンの彼氏紹介されたわ…やっぱり恋愛ってタイミングなんだよなー。って荒れてたらしいよ」
「おー。ほー。おー。」
「この話アツには内緒だよ」
「んー。じゃ、アツはあの日指輪渡されたのかな?」
あの時どんな顔してたっけ?
僕のところに戻ってきた時は笑ってたけど…。
「そこまではわからないけどさ。」
ってかお前ちゃんと俺の話聞いてる?」
「んー。」
じゃ、もし僕がいなかったらアツは指輪を受け取ったのかな?
あの時レコード屋で僕がアツをみつけなかったら…今ごろはサウジアラビアに行く決意をしてたのかな?
色々と頭の中で考えてたらなんだかすごく会いたくなってきた。
「ジミナ!帰るわっ」
「えっ?」
「なんか急に会いたくなったから。
タイミング逃さないようにしないとさ」
「あーそー。笑。なんかお手伝い出来てよかったです笑」
ジミンが最後まで言い終わらないうちにお店を出た。

タコ鍋の店から走って3分。
エレベーターに乗る時間がもったいなくて
階段を1段抜かしで3階まであがった。
「ただいま!ただいま!ただいま!」
僕が靴を脱ぎ捨ててリビングに入ると
アツがびっくりした顔で振り向いた。
「どーしたの⁈ 何かあった?」
「何にもないっ」
っていいながら抱きしめた。
「んー、タコ鍋の臭いがするー
私も食べたかったなー。ジミンが内緒の話があるから私は来ちゃダメって。」
「ジミナ悪い奴だねー笑」
「ふふふ。悪い奴だよねー笑。で、内緒の話ってなんだったの?」
「それは内緒だけど、すごく会いたくなって走って帰ってきたー」
「おかえりっ笑 スーツテヒョンだ!
素敵だなー」
彼女がそう言って笑ったからなんだかすごく幸せな気分になって
「あーーっ大好きっ」
予想よりかなり大きい声になった笑
「びっくりしたー笑 声大きいよー笑」
「いいじゃん!世界中の人に…いやっ宇宙中の人に…んー銀河中の人に聞こえるようにいったんだからっ
「ありがとう笑 銀河中の人って笑」
「火星の人とかさ」
「火星の人?」
「知らないの?マーズアタックだよ。
頭長くてさ、怒ったらすごい怖いんだよ。
そういう奴らにも知らせておかないと!」
おっと…話がズレた…
マーズアタック?知らないよー。ドラマ?
映画?なんて僕の話につられてる彼女の頬を両手で挟んで集中!ってソファに座らせた。
「大事な話があるんだって。」
「大事な話?」
「うん。集中!」
「うふふ。
僕は彼女と向き合うように床に座って
「結婚するよ!」
「えっ?」
おっ?いやいや違うか…
「結婚しよう!って予告」
「予告?」
「うん。coming soon」
「ぷっ笑 どういうこと?」
予告っておかしいか…。
「今はさ、まだ日本で修行の身だけど、後2年頑張ってソウルに帰ったらちゃんとプロポーズするからね!」
「ありがと。うれしい。予告だけど…笑」
そのときにはサウジアラビアにも火星にも負けないプロポーズをする!
「サランへ」
「ふふふ。サランへ」
そのままソファに倒れ込んで幸せなひとときに浸ろうと思ったら…
「シャワー浴びてきてっ!」
と怒られた。笑







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