13カテゴリ別。2025年食トレンド予測&食クリエイター31人が気になるもの
私が代表をつとめる食のビジネスメディア・コミュニティ「Yellowpage」で、特集「食トレンド予測&食クリエイターが気になるもの 2025」を公開しました。13カテゴリに分けて食品・飲料の動向や予測を、それぞれの分野に愛情をもって活動されているクリエイターや専門家とともに紹介します!
マクロトレンドから見る、これから
はじめにYellowpageから、環境や人口、社会の動きといったマクロトレンドから見る、これからをまとめていきます。
[A]《気候変動》による変化
2024年の日本は「観測史上最も暑い夏」を経験しました。
6月から8月の平均気温は、前年と並んで1898年の統計開始以降最高気温にを更新。10月に入っても季節外れの暑さが続き、真夏日が約4ヶ月続く事態に。国連の報告によれば、2025年は「人類史上最も暑い年」となる可能性が高いとされており、異常気象の増加が懸念されています。
参照:JMA
①不漁・不作による購買行動の変化が生まれる
このような高温化は不漁・不作を引き起こしています。
鮮魚ではサバや鮭、昆布、さくらんぼや梅、リンゴなどの果物、米は深刻で、食品価格の高騰につながっています。価格の高騰化の影響もあり、インテージが発表した「2024年、売れたものランキング」ではトマトジュースが4位、「冷凍水産」が9位にランクイン。これらは鮮魚・青果が高騰化したことによる代替品として購入されたようです。2025年も引き続き、代替目的の購買が他ジャンルでも見られるのではないでしょうか。
②嗜好性の変化、四季への欲望が強まる
長期化する夏は、嗜好性にも変化を起こしていくかもしれません。簡単に言えば、南国的な料理や味、食品に自然と惹かれること。
KIRINは2024年7月に午後の紅茶 Sparkring<ライチスカッシュ>を販売、サントリーは「ほろよい<台湾ライチ>」を5月、クラフトボス<トロピカルティー>を6月に販売していますし、2024年再ブレイクを果たしたアサイーもまた、アマゾンのスーパーフードであり、ハワイで人気になった南国の植物です。飲食店では、メキシコのタコスをはじめ、ベトナム料理の専門店、が出店し話題に。国内の外国人が増加していることも一因ではありますが、「アジア食の解像度が高まっている」こともトレンドとして言えるでしょう。
一方、春や秋シーズンに“割り込んでくる夏”に対し、「四季をなんとか感じたい!」という葛藤もSNSのタイムラインで見られました。「涼を感じながら春・秋らしい食品(デザートや飲料)」に惹かれることは、2025年も見られるのではないでしょうか。
例えば「もう既に暑いけど、春らしいピンク色のアイスを食べるぞ!/まだまだ暑いけど、梨や葡萄で秋を感じたい!/まだまだ暑いけど、「お月見」は秋っぽくて今食べたい!」といった消費欲求です。
[B]《単身層の増加》による変化
2024年1月1日時点での日本の人口は1億2488万人、世帯総数は5445万2000世帯です。最も多いのが全体の34%を占める「単独世帯」で、この20年で約1.7倍に増加しています。
単身層の増加は中食の需要を高め、外食でもファミリー前提ではない業態や店舗設計が主となっていきます。また単身層×食費の高騰は、これまでの自炊(家ごはん)の価値であった「安く済ませられる」という点が実感しにくくなるため、機能性食品や食事の代替となるスナック菓子で済ます、「ご飯スキップ」するといった行動も増えていくかもしれません。
出典:2024年1月1日現在住民基本台帳、「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(令和 6(2024)年推計国立社会保障・人口問題研究所)
[C]「食」の先にある欲望
機能性食品の普及もあり、わたしたちは「栄養を摂取するための食」は手軽にとても安価に済ませることができるようになりました。食材を選ぶ、レストランに赴く、料理をするという時間とお金を投資する食は、その先の目的や欲望——「健康・美容のために食べる」「人とつながるために食べる」「自分自身を落ち着かせるために料理と向き合う」に対して行われていくのが、今後はより顕在化していくのかもしれません。
Yellowpageでは、今後も、食トレンドや生活者の動向をまとめていきます。