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「vol.6 職人さん100人数珠つなぎ」/木下富雄(Tomio Kinoshita)さん/グローバルに活躍する木地師

山中漆器(“木地の山中“と称されるほど、木地に施す技術と生産量において日本一を誇る漆器産地@石川県加賀市)
※木地とは、例えばお碗を作る場合、木の状態からロクロとカンナを用いて丸い形を作りだす器物で、漆を塗る前の段階にあたり、木の地肌のままのお碗状態のもの。

 システムエンジニアから手に取るものを作りたいと山中漆器の職人に転進した木下富雄さん。
 漆器を選んだ理由は、頭にあるものを自らの手で作り出すことができるから。つまり、0から1を生み出していけることに魅力を感じたからだそうです。木下さんは最初の工程である木地作りから漆を塗り商品として仕上げ、そして販売までご自身で手掛けています。(漆器業界は多くの場合、分業体制がとられます。木地師、漆を塗る塗師、漆で模様を描く蒔絵師、販売する問屋や店舗など専門の職人がそれぞれ持ち場を担当しています。)

1: 大切にしていること//①天然素材 ②木目の美しさ ③金箔の使用//

1点目の“天然素材”にこだわる理由は、木下さん自身が使う際に安心安全な器を使いたいから。2点目の“木目の美しさ”にこだわる理由は、木下さん自身が木目の風合いや色合いの綺麗さに心が落ち着くから。3点目の“金箔を使う”ことにこだわる理由は、金箔の生産量日本一の石川県の文化をアピールしたいから。
「売ることが目的ではない。万人に受けるものでもない。自身の想いに共感し、好きだと言ってくれるお客様に買って頂きたいから、こだわりを説明しています。」と語る木下さん。
ご自身の内側から湧き出る想いを大切にしたものづくりを実践されています。

2: チャレンジ //何があっても海外展開は続けていく//

 漆の世界に入った時から海外展開したいという夢を持っていたそうです。現在は夢を叶え、台湾、香港、中国、シンガポールなど世界各国で販売しています。
「販売することだけではなく、個性溢れるものづくりを今後も続けていくためには、海外の文化に触れ、刺激を取り入れることがインスピレーションを得る上で重要なことだと考えています。」とおっしゃるように、新たなものづくりにチャレンジするためにも海外で販売することと、海外の文化に触れることの両輪を回してきた木下さん。
コロナ禍で2020年は海外に行く機会がなく、また今後の見通しも立っていないそうですが、海外への挑戦は何があっても続けていく覚悟を決めたとのこと。
使う人にとっても天然素材によって作られる安心安全かつ、一つとして同じものはない木目と金箔仕上げによる楽しさを感じられる商品は魅力的なので、日本はもちろん海外へ向けて更に拡がり続けて欲しいと思います。

//木下富雄さんのFacebookページ//










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