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電話口で泣かれる

有料老人ホームに入っている96歳の母。

体のあちこちに病を抱えている。
心臓の血管の1部が詰まっている。
言い出せばキリがないが、老人ホームで行われている年1回の健康診断では
E判定がいくつか並ぶ。

暑い夏だ。
週末の面会を毎回こなすのがやっとだ。
が、母は老人ホームの中でも仲良しを作ろうとはしない。

他人と触れ合うことで傷つくのを恐れているのだと最近わかってきた。

娘である私に話すのが楽だ。
私が何を言われても見捨てることができないのがよくわかっている。

かかってくる電話はほぼ愚痴だ。

老人ホームにいるのが辛いと。
それはそうだろう。住み慣れた家に帰ってきたいよね。
でも、できないんだよね。ごめんね。
ーーー

今日の電話は荒れていた。

食べるものがない。
(母の体重は現在34キロだ。栄養失調状態でもある)
もともと好きなものがないと食べない人だった。
いろいろ差し入れてみたが、最近は疲れた。

話す人がいなくて、辛い。

すぐにオムツを替えてもらえなくて辛い。

男性の職員に面倒を見てもらうのはやっぱり嫌だ。

などなどいつものごとく。。

メンタルに来るので、電話を耳から外して下に置いておく。

ーーー

2分ほどして、再び電話を聞いたら、電話口で泣いていた。

聞いていなかったので、どういう流れで泣くことになったかわからない。
でも、恥も外聞もなく大声で泣いていた。

「わかったからね。つらいね」

そうやってまた電話をテーブルの上に伏せておいた。


さらに、2分ほどあとに画面を見ると、電話は切れていた。

わかってなんかいない。

もう、できることしかできないから。
自分の心を守るから。

そして、わたしが老いた時、
どうするのか学ばせてもらうね。

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