新聞紙ゴミ箱シリーズ#11「たたずむショーヘイ」
いきなり緑になっていた。
第一面。新聞の顔である。
なにごとだ。
1枚めくってみると、いつもの新聞が現れた。
あれ?
ひっくり返してみよう。
そして後ろ
いつもの新聞が、茶畑でくるりと包まれているのだ。
しかも、茶畑の中にたたずむその人は。
ショーヘイ オオタニ。
お茶の伊藤園の宣伝だ。ワシントン・ポストやロサンゼルスタイムズのような世界の新聞に広告を出している。
新聞に戻る。
やはり違和感。
ショーヘイのシールがあって、
ペタッ
と貼り付けたような。。。。。
不自然な感じである。
実際に撮影に来たとは考えにくい。
ショーヘイの画像を加工してプラスしたのだろう。
ーーー
「この広告にはおかしいところがある」
出た。理科系夫。
あつこ「どこが?」
理科系夫「扇風機がない」
あつこ「は?」
理科系夫「これ」
そうだった。
先日、理科系夫は友人に会いに埼玉県の狭山に行っていたのだ。
狭山は茶どころである。
理科系夫「茶畑の中を歩いていると、清々しい気分になった。
たくさん柱が立っていて、その先に扇風機がついていた。霜除けのためだ」
あつこ「へえー」
理科系夫「扇風機と
それに電力を供給する電線の支柱が
林立(りんりつ)しているのが茶畑の現実だ」
あつこ「現実、、、ですか」
理科系夫「こうした努力で、おいしいお茶ができる。
この柱たちがなければ、もっと広々した空間なのだと思いながら、歩いてた」
【答え】
扇風機がない
ーーー
理科系夫「シールが貼ったように見えてしまう件だが」
あつこ「はあ」
理科系夫「広告案を検討した時、この出来上がり画像はメール添付で送られたのだろう」
あつこ「たぶんそうですね。この画像を新聞の第一面広告にしますってメールで関係各所に送ったのでしょう」
理科系夫「パソコン上の画面では、非常によくできたように見える。
ところが紙で印刷してしまうと、いまひとつに思える。
微妙なところで、人間の感性だ」
あつこ「おおー」
理科系夫「働いていた頃に、似たような経験がある。印刷したら変だった。正確な理由は知らない」
印刷された新聞で見ると
「なんだか変、、貼り付けたんだなぁ」
と思えるのは、あつこの感性だったのだ。
理科系夫「ボクにも貼り付けたように見える」
ーーー
しかし、我が家に来たからには
やることはひとつ。
ゴミ箱になって、キッチンで役に立ってもらおう。
この朝刊、メルカリで売られている。
350円だった。買う人がいるんだろうか。
謎である。
ショーヘイさん、メルカリはあきらめて、ごみ処理に協力してほしい。
あ、ホームランは打たなくていい。ゴミが散らばったら困るので。
はじにいるので、折り込まれてしまう。んー。
緑豊かなゴミ箱ができた。
オオタニサンが消えてしまった。
せっかくたたずんでいたのに。
せめて、すがすがしい緑を台所で感じながら
ご飯の用意をしよう。
Thank you! SHOHEI.