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カメ吉、衣替えする

吾輩はカメ吉である。
この家で暮らし始めて23年が経った。

ーーー

昔のことは、もうとっくに忘れたが。
小さい頃、公園の池に置き去りにされたことは覚えている。

悪ガキたちに傘の先で突かれて、必死に逃げた。

ヘトヘトになったわが輩をそっと見守っていたのが「はるちゃん」と呼ばれていた小さな女の子である。

なぜか「はるちゃん」の家に連れてこられた。

しばらくは怖くて、何も食べられなかった。
「はるちゃん」は我輩の体を洗い、餌をくれた。
1週間が経った頃ようやく安心して、この家に世話になることに決めた。

ーーー
はるちゃんはどんどん大きくなり、我輩も負けずに大きくなった。

23年の間、それなりにいろいろなことがあった。

最近ははるちゃんの母親のあつこが我輩の面倒を見てくれている。

はるちゃんに比べると、ずいぶんと扱いが雑だが、まぁ餌をくれているので良いことにする。

ーーー
暑い夏が終わり、秋風が吹き始めている。
我輩も衣替えの時期だ。

洋服を着ていないじゃないかって?

いやいや、注意力が散漫であることよ。
(亀の写真が苦手な方は見ないでね。)

この部分だ。
どこの部分かわからないって?

だから、ここだ。

なんだか少し浮いているように見えないか?

ぱかり。
ぱかっ。

これで衣替えが完了である。

ーーーー

あつこの「ちょっとだけ説明」

カメ吉は、春と秋のある時期に甲羅がはがれます。

少しずつ大きくなって、古い甲羅がそれこそ「ぱかっ」って。
ある瞬間に外れるのです。

この写真だと、赤い矢印部分。


イメージとしては、エビの殻をむくでしょう?
ブラックタイガーの殻が近い感じです。

取れる頃になると、間に空気が入った感じで、ほんの少しだけ白く見える時があります。

面白いことに、取れたばかりの甲羅を、今までのところにはめると、パチッとはまるんです。
まるでパズルをやってる感じ。

カメ吉パズル。
はるちゃんは、はめたり、外したりして遊んでいました。

毎年、春と秋には、ベランダにそんな落とし物が落ちています。
(集めて捨ててます)
これがカメ吉の衣替えです。

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あつこ (63) フワフワ文系妻 定年理科系夫 育て中
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