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#34 ボリビアで配属先主催の国際カンファレンスに登壇-日本のグラフィックデザインについてプレゼンしました。
2022年10月29日 sábado
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気づけば10月も終わろうとしている。今月はいろいろとイベントがあり、その準備や調整の日々が9月から続いていたので、それらが終わって落ち着いたと思ったら、もう11月が目前。来月は絶対に長期の休暇をとる、と決めて今からプランを練っている。
東京物語の上映をした10月11日、その週末には、JIDGAという配属先主催の国際デザインカンファレンスがあり、私は14日の金曜日、カンファレンスのトップバッターのプレゼンテーションをしてくれ、と頼まれていた。8月後半にそれを告げられたので、準備が一ヶ月半かよ!と、思いつつも、個人でおこなっている活動に比べると、学校全体のサポートに加え、参加する学生数も桁違いなので、参加することにした。
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私の提案している活動「CLUB de INTERCAMBIO」内で実施する予定のプレゼンテーションを、このイベントに向けて再構成し、用意することにした。
「日本のデザインの傾向- いま、デザインが機能する領域が広がっている」と題して、デザインの本質を確認してから、今の日本の社会でどう「デザイン」が適用されているか、領域を超えてコミュニケーションを創生する、という視点で、「地域とデザイン」「障害とデザイン」「教育とデザイン」の3つの領域での具体的な事例、私の過去の仕事をまじえつつ、紹介することにした。
一時間のプレゼンなので、スペイン語でまとめるのはもちろん、基本構成を練るのに骨が折れる。とにかくアイデアを書きまくる。
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イベントを取りまとめている教員から「生徒たちは日本のグラフィックビジュアルの特徴に興味があるから、その話もしてほしい」と、こっちの主旨を無視して勝手なことを言ってくる。。。仕方がないので、軽く、グラフィックデザイン黄金期のビジュアルを紹介することにした。今は経済的な状況も変わり、同じようにはデザインの仕事できないけどね、と本題につなぐことにして。
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準備期間、私は黙々と自分のデスクでプレゼンの資料を準備。オフィスではイベントに向けての調整ごとで会議の日々。なので、みんな会議室に出払って私一人ポツン、の状態が続いた。学校あげての(学長肝入りの)イベントとなると、この力の入れよう・・・と、なんだか呆気にとられる。
しかし国際カンファレンスというものの、海外からの登壇者は私含めて3人。
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残りの3人はボリビア人。それでも「インターナショナル」と言い切る度胸、逆に尊敬します。SNSや学内でも、これでもか、とイベントの告知が繰り広げられる日々。
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後に知ったのだが、参加費を生徒から徴収するイベントで、私はもちろん仕事の一環で参加するので「なんだかなー」と釈然としない気持ちもあった。そんなストレスと疲労が相まってか、前日は軽い吐き気と体の冷え、腹痛とで「明日喋れるんかなー」と思いながら、エンジニアの同僚とオンラインでのプレゼンに向けて、インターネットの接続、私のノートパソコンでのプレゼンの動作チェックをすませ、「明日は8時半にここで」と、約束して打ち合わせを終了した。
当日の朝8時15分、彼から「どこにいる?」と連絡があり「家」と、こたえると「みんな8時から準備している」と。「8時半にオフィスに行く」と答えるも「遅い!」と。「わかった、今から行く」とオフィスに急ぎ、会うなり「¿Dónde está la puntualidad?」(時間に正確なのはどこにいった???)と言われる私。いや、8時半って言ってたやん!!
すぐにパソコンを繋いで、あらためて動作のチェックをおこない、私の近辺(背景に映り込む環境)を整える同僚。
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私はこの部屋でひとり、配信が始まるのを待つ。エンジニアのバタバタしている声がイヤホンから聞こえる。
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そして、いつものように少し時間が押して始まる。学長、ディレクターの開会のあいさつに続き、私のプレゼンが始まるのだが、20分ほど押して始まったので、私の喋る時間が圧縮。ところどころ省略しつつ、それでも一時間弱はかかってしまった。
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10時過ぎ、エンジニアの同僚から「早く終われ」とメッセージが入ったのを確認。(いや、そもそも一時間喋れ、と言われたので私は何も悪くない!)最後の方はめっちゃ早口で喋り、なんとか質疑応答の時間に突入。時間があまりなかった上に、私が同僚教員のスペイン語を何回も聞き直したりしていたので、4つか5つくらいしか質問に答えられなかった。
後日、私のプロジェクトに参加している生徒から「たくさん質問があったよ」と聞いたが、仕方ない。行くのやめようかな、というくらいぎりぎりの体調で、なんとか喋れたので許してくれ。。
最後にエンジニアの同僚が「投票を!」と生徒に呼びかける声が聞こえた。どうやら参加者から投票されるシステムだったらしい。
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私の持ち時間がなんとか終了し、実際、生徒にはどう伝わったかな、とおもっていると、一人の教員から感謝のメッセージが届いていたのに気づく。
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そして昨日、別の同僚から「共有したい大事なことがある」と、チャットの途中にいきなりそんなことを言われたので「何?告白でもされる???」とおもっていたら、私のプレゼンに対しての、彼の生徒のコメントを送ってくれた。
彼は今週いっぱい、どのカンファレンスが一番良かったか、の投票とそれに対してのコメントを、自分の生徒から募っていたらしい。
Posted by Walex Bass on Monday, October 24, 2022
5つもコメントをもらっている!!!最多!うれしい!
他のプレゼンターはテクニックに焦点を当てていた(そもそもテクニック重視の学校だから、そらそうだ。)ので、デザイナーとして、デザイン(の本質的な考え方)をどう社会に適用できるかの話、がどこまで伝わるのかわからなかったけど、やっぱり新しい世代の方が頭がやわらかいのかな、とか、おもったり。「自分の目を開かせてくれた」「デザインの可能性にリミットがないことがわかった」「忘れられないイベントになった」とかとか。
うんこ漏れそうになりながら、頑張ってしゃべった甲斐があった。ほんと。
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ATSUKINO(アツキーノ)
2006年〜日本でグラフィックデザイナーとして働いた後、2013年に渡英。スコットランドの The Glasgow School of Art で修士号(Communcation Design: Graphic Design)を取得。帰国後はアートディレクター、キュレーターとしてデザインディレクションとともに現代アートの展示企画制作なども行う。海外での生活、旅を通じて得られる新たな表現や人との出会いが次の可能性につながると信じて動く、旅するデザイナーでありアーティスト。現在は南米のボリビア、ラパスにてJICAボランティア活動中。デザイン教育環境の改善にあたっている。 http://nakanoatsuko.com/
https://shadow-candle.com/
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