BtoBマーケティングの観点で動画コンテンツの差別化について考えてみた
こんにちは、久我です。今年の夏、株式会社ユーザベース NewsPicks Stage. さんが主催する「Marketing BASARA Special 営業&マーケティングの進化を加速するリーダーたち」に出演させていただきました。
「Marketing BASARA」は営業とマーケティングの領域でイノベーティブな取り組みを実践するトップ・マーケターに焦点を当てたオンラインのビジネス情報番組です。今回はその特別企画として、2日間にわたって合計10セッションが開催されました。私はトリである「Session10 今こそ、BtoBマーケティングの真価を問う -2025年のマーケティングが在る姿-」に出演し、株式会社ユーザベースの酒居さんをMCに、 株式会社キーエンスの柘植さん、株式会社ベーシック秋山さんとBtoBマーケティングの今と未来についてディスカッションしました。
徹底的に「魅せ方」を工夫することで差別化する
私はかねてから「Marketing BASARA」のコンテンツ力の高さに注目しており、今回の出演時も改めてその素晴らしさを感じたので、「Marketing BASARA(以下、BASARA)」を題材に、ビジネス系動画コンテンツの差別化について考えてみたいと思います。
コロナ禍でオンラインでのセミナーやイベントが社会全体に浸透したこと、ウェビナーなどを開催するツールやサービスが充実し誰でも簡単に動画コンテンツを世の中に届けられることなどから、現在、ビジネス系の動画コンテンツは世の中にあふれています。故に誰に、何を、どう語ってもらうのかといった中身が最も大切ですが、そういった出演者やテーマの選定だけでは差別化を図れない時代になってきているとも感じます。
そこで、頭ひとつ抜けるために必要な差別化の要素の1つが「魅せ方」だと考えています。BASARAは、前提となる企画が優れているだけでなく、映像のクオリティが群を抜いて高いです。多くの企業のウェビナーやオンラインイベントは、自社のオフィス内で収録されていることが多いかと思いますが、BASARAは特設ステージを組み上げ、スタジオ収録しています。
カメラを複数台配置して、引きの画、寄りの画などを場面に応じて使うことで視聴者を飽きさせない。場面に適した照明を当てて、観やすくする、雰囲気を醸成する。マイクなどの配置も工夫されており、各音声を映像作りに必要な要素としてしっかりと拾っており、視聴者に「聞き取りにくい」というストレスを与えない。さらには、スタジオ空間の造り込みが非常に優れています。ゲストの前に置かれた曲線が個性的な机や背景のアートや装飾は、すべてこの番組のためにつくられたもの。これらによって、観る者に没入感を与え、番組だけの世界観を創り上げています。
ブランド構築の観点で、戦略的に
オフィスで気軽に動画を撮影し、テロップを入れて、アップロードをするだけで「オンラインセミナー」として動画コンテンツを製作することが出来るようになりました。誰もが容易に動画コンテンツを製作できるようになったが故に、世の中のビジネス系の動画セミナーのコンテンツは玉石混交です。企画がいくら優れていても埋もれてしまう可能性だってある。
だからこそBASARAのように映像のクオリティを高くすることは、埋もれずに差別化でき、強いブランドを作っていくことが出来るのではないかと考えます。何を伝えたいのか、どのようなブランドにしていきたいかというコンセプトに沿って徹底的に世界観をつくり込むこと。そして、それを継続して続けていくことでブランド価値が高まるのではないかと考えます。
ブランドは、一朝一夕では築くことができません。BASARAは2022年12月から配信が開始されましたが、構想自体はコロナ禍以前からあったそうです。早い段階から世の中を自分達なりに予測して、自分たちのポジションをつくるためにどのような番組にするかしっかりコンセプトを立て、具現化していったからこそ、BASARAのブランドが築かれたのだと思います。
例えば、高橋弘樹さんの「ReHacQ(リハック)」は映像のクオリティは高くないですが、著名な出演者の方がマスメディアでは発信が難しい、切れ味の良いトークで差別化されています。ホリエモンチャンネルは「iPhone」単体で撮影されている動画も多く、音声品質もまちまちですが、ホリエモンという存在自体がブランドなので、そこで差別化されています。
弊社で取り組んだ事例ですと、弊社では毎年「updataNOW」というイベントを開催しています。一部を除きオンライン配信しているのですが、映像・音声品質とセッション自体のクオリティは一定以上を保つことを前提に、差別化ポイントとして「音」に注目しています。オンライン配信はラジオ感覚で楽しむ方もいるので「耳」の体験を高めようという試みです。
いくつか案が出たのですが、最終的に声優さんにイベント全体のナレーションを担当いただく案を採用いたしました。21年度のイベントではエヴァンゲリオン(葛城ミサト)、ドラえもん(のび太のママ)、セーラームーン(月野うさぎ)などで知られる声優・女優の三石琴乃さん、22年度はドラゴンボール(フリーザ)、それいけ!アンパンマン(ばいきんまん)の中尾隆聖さんにご協力いただきました。
今年は攻殻機動隊のバトー役やルパン三世の二代目次元役で知られる大塚明夫さんの声の出演が決定しております。データで越境者に寄り添うメディア「データのじかん」内で好評連載中のデータにまつわる4コマ漫画「タイムくん」に登場するウサギ社長を演じる予定です。
また、オンライン配信でもオフラインの体験を高めることは出来ないかと、オンライン視聴キットを数量限定で作成し、イベントを楽しむための小冊子や珈琲、軽食をキッティングして配送する企画などを過去に実施しています。
今年も「updataNOW23(10月31日~11月2日)」で多くの試みを行っていますので、ご興味ある方は是非ご参加ください。(詳細はこちら)
動画コンテンツ制作のハードルが下がり、動画制作の参加者が増え、結果として玉石混合となる。その中で頭1つ抜けるようなコンテンツとは何なのか、どうやったら選んでもらえるのかということを常に考えています。
今回、企業の動画コンテンツの差別化という点で考えてきましたが、セミナーだけでなく、展示会や広告、オフィス、プロダクトやサービス、サポート品質や、営業の提案方針、社員の言動など、顧客と企業のあらゆる接点が自社のブランドを構築していくのだと思います。
正解がない世界ですが、自社のブランドとは何なのか、常に問い続け、形にして試行を続けている今日のこの頃です。
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