【カーボンニュートラル推進企業紹介⑧】有限会社マキ寝具 〜地域密着の店舗が取り組む、日常の延長にあるカーボンニュートラルライフ〜
カーボンニュートラル。脱炭素への取り組みは国際レベルのものから個人までの活動まで様々です。
厚木市内で脱炭素の取り組みを進めている企業に、どのように「脱炭素への挑戦」をしているかをインタビューしました。取り組む理由や具体的な進め方、これから取り組む企業へのメッセージなど、1社ずつご紹介。取り組みを始める一歩に、また活動を促進させるヒントにしてはいかがでしょうか?
8社目は、市内中町で寝具用品を扱う有限会社マキ寝具店。LED化や環境にやさしい空調設備、また、ふとん打ち直しなど「モノを大切に使い続けるための工夫」といった身近な店舗、企業だからこそ、誰でも参考にしやすいカーボンニュートラルの取り組みについて話を聞きました。
身近な個店だからこそ柔軟に
お客様ニーズに寄り添って
マキ寝具店は創業73年目の老舗店です。話を伺ったのは2代目の木村嘉宏社長。学生時代から店を手伝ってこられたそうです。
同店が心掛けているのは、お客様のニーズにあった地域密着の店舗運営。大量仕入れ、大量販売の営業スタイルではなく、1人1人のお客様のニーズに合った商品を売るスタイルは、SDGsの観点からも重要視される営業形態です。
脱炭素へ。店内の照明をLED化
また木村社長は「個店だからこそカーボンニュートラルの取り組みも柔軟に対応できる」と紹介します。
まず、やってみよう。LED導入
同店では令和2年12月に、照明を従来の蛍光灯からLEDのダウンライトに変更しました。その数は店内だけで46台。また、4つある看板灯もLED化しました。
木村社長によると、電気使用量は蛍光灯の時と比較して、約40%削減されたそうです。
また、店内のエアコンも旧型からCO2排出抑制効果のある新しいタイプのものに変えたそうです。
カーボンニュートラルの取り組みは、地域に留まらず、世界全体の未来に関わる問題です。でも、大切なのは「まずやってみよう」の思い。今できる一歩から取り組むこと、そしてその一歩を踏み出す企業や市民が多いほど、地域全体で見た時に大きな力を生みます。
お客様にも、店舗にも、環境にも良い空調
高機能換気設備を導入
近年、新型コロナ対策としても重要視される換気など空調設備の整備ですが、カーボンニュートラルにおいても高機能換気設備の導入には効果があると言われています。
同店では、窓を閉めたままでも効率よい換気設備を導入し、店内環境整備にも役立てています。
一般的な換気は、夏は熱い空気が、冬は冷たい空気が入ってくるデメリットがあります。ですが、同店が導入した設備は、夏は室内の冷えた空気を使い外気を冷やし、冬は外気を暖めてから室内に入れるという構造になっています。
電気代節約はもちろん、また、室内の空気を汚さず、かつ室内の温度を保ったまま換気できる機能もあり、店舗においても多くのメリットがあります。
木村社長は「CO2排出削減のために研究を重ねて設置したというよりは、来店されるお客様が快適な店舗環境でお買い物を楽しんでもらいたいという思いから。結果的にはカーボンに少しでも貢献していることになればそれはそれで嬉しいことだね」と笑顔を見せます。
ふとん打ち直しは日本人にとって親しみあるリサイクル
今あるものを大切に使い続けるために
大量生産・大量消費社会によるカーボンニュートラルへの影響の一つが、生産・物流・廃棄全てにおいて生じるカーボン量の増加です。
その対策の一つが、同店も力を入れるリサイクルです。
「リサイクル」という言葉や取り組みが国内で広がったのは近年ですが、日本にとって「ものを大切に使い続ける」という考え方は親しみあるもの。最たるものが「布団のうち直し」です。同店では専門店ならではの知識力と技術力で、長年に渡り布団の打ち直しを実施してきました。
専門店ならではの技術力
その技術力が垣間見えるのが、木綿の打ち直しです。木綿の打ち直しは、一般的な打ち直しの方法だと綿の繊維が短くなってしまい細かいほこりを除去しきれません。しかし、同店が工場で使用する「新型カード機」は、突起の付いたローラーが装着されており、その突起が「くし」のように綿の繊維を薄く掻きながら細かいほこりなどを除去します。髪の毛を整えたり、ペットのブラッシングのようなイメージです。
ブラッシングを繰り返すことで、繊維は生まれかわり新品同様になるそうです。また、羽毛ふとんの打ち直しは、店内にある羽毛吹き込み製造機を使い、仕上げています。
「『ふっくら感がなくなった』『汚れが気になる』『羽毛がかたよってしまった』など、他の道具同様、布団も長年使っていると少なからずこのようなトラブルが起こるものです。ふとんの買い替えを考える人も多いと思いますが、技術で新品同様にリニューアルさせることができます。
これからも地球を残すために
「昔とは違い、地球環境は大きく変わったよね」としみじみ振り返る木村社長。「私たちが暮らすこの地球をこれからも残していくためには、環境に配慮した取り組みが必要不可欠になっていくと思う。私たちにできることを考え、行動に移すことが大切だと思います」と話してくれました。