すべてが夢だったら…『ジョジョ・ラビット』
『ジョジョ・ラビット』
第2次大戦下のドイツを舞台に、兵士になるための訓練中にウサギさえ殺すことができず、“ジョジョ・ラビット“というあだ名をつけられた少年の姿を描く。タイカ監督がジョジョの空想上の友人・ヒトラー役を好演するほか、スカーレット・ヨハンソンらが共演する。
だいたいの作品は予告編を観ただけで詳しい内容を調べずに本編を観る。この『ジョジョ・ラビット』もおなじようにして観た。で、どこまでが妄想でどこまでがほんとうの時代なのか混乱してしまって、もしかしたらこれってすべてが少年の夢の中で、生まれつき悪い脚や顔のキズは現代の少年が学校なんかでうけたキズなのかなとわたしの妄想列車は線路の切り替えをまちがえてエンディングまで爆走していたのだ。
すべてが夢だったらよかったのに。主人公の心の均衡を保つイマジナリー・ニンゲンはヒットラーだけどそんな人、じっさいにはいなくて。アンネ・フランクみたいに屋根裏に隠れなくちゃいけない民族はいなくて。つかまったら私物はすべて没収されタトゥーを腕にいれられ髪は刈り上げられ病弱そうだったらすぐに殺され美しい女だったら慰み者にされすぐに殺されなくても生きていることにさえ罪悪感を覚えるような収容所へ入れられる。
アリスが迷いこんだ不思議な世界みたいに歪んだ話のなかで、10歳が手りゅう弾を投げ、ハイリング(あいさつ)するなんて言葉が飛ぶ。どこからどこまで悪夢なの。
これはわたしの勝手な思い入れなんだけど、スカーレット・ヨハンソンが年齢を重ねるにつれてわかりやすいホットな女から賢くて母性あふれる人間という役柄を求められてきているような気がして、うれしい。
この映画って好評すぎて、わたしは好みじゃなかったと言いづらいんだけど、その前に観たフランス映画のせいにしておこう。
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