Netflix『軽い男じゃないのよ』
今日は「痴漢なんて見たことない」という男性のツイートをうっかり読んでしまって、ずっとそのことばかり考えていた。
それで思い出したのが、Netflixでみた、フランス映画。
『軽い男じゃないのよ』
女性を見下す無神経な独身男が、ある日頭を打って気を失う。意識が戻ると世界が逆転。女が上に立ちすべてを牛耳る社会で、傲慢な女流作家の助手となり...。
主人公は頭をうって、逆転世界に行ってしまう。いままで生きてきた世界と真逆。クローゼットをあけるとピンクを基調とした服ばかり。ひざ上のショートパンツ。出社したら男は受付担当か、アシスタント担当。女ボスにセクハラを受けて外に出ても不快な声かけを受ける。
そうそう!
これよ、これ。女が味わってる世界。屈辱を味わう主人公に、いい気味だ、と最初は思う。
一番共感したのは、主人公(男)のもとに女が車で駆けつけるシーン。
急に車が主人公のすぐそばに寄ってくるものだから、主人公は怒ったように驚く。
思い出すよ、大きなバンがわたしのすぐ横に急停車したときのことを。
終わった、死ぬ、やられる、と思った。中に乗っていたのは当時の営業先の、お客様だった。わたしを見つけて、駅まで送ってあげるよ!と元気よくわたしのすぐそばに横づけしたのだ。
ほっとした。やられなかった。死ななかった。同時に、この恐怖をこの方(男性)は想像できなかったんだろうなとわかった。
この映画は割とコミカルに、わかりやすくミラーリングしてくれているので、興味を持った人はぜひ見ていただきたい。
笑えてやがて悲しいって感じです。
ただ、この作品は強制わいせつに触れているけれど、痴漢という逃げられない環境で未成年が多くターゲットにされるタイプの強制わいせつには触れていない。だからあの卑劣さをわかってもらうには、これでは全然足りない。
そこに近いのはおなじNetflix作品だとアメリカの『キーパーズ』だろうか。かなり不快だけれど、なにもできない子ども相手という面では近いような気がする。
なんとなく思い出したから映像作品にふれたけれど、別にこういうものをみなくたっていいのだ。テキストでもいい。
自分以外の人は何に恐怖を感じているのか。
なにを体験してきたのか。
検索すれば簡単に出てくる。耳をかたむけて、想像してほしい。
と書いておきながら、わたしの体験は書きませんけど。嫌なので。
それから、痴漢という名の強制わいせつを止められない人(性別問わず)のために、カウンセリングや心の治療がもっともっと行われますように。
どうして加害してしまうのか、心の弱い部分に向き合ってほしい。
痴漢は残念ながら、存在します。いつか絶滅しますように。