中華街うろうろ歩き・だらだら書き
ぽんちゃんと横浜の中華街にいた。
横浜の中華街は大きい。神戸にも中華街はあるが、横浜の中華街に初めて来たとき、比べないでください、そうっとしておいてくださいと思ったくらい、規模が違う。中華街の魅力は、せいろである。蒸しせいろ。道具屋さんの前にかならず並べられていて、これさえあればいろいろとできてしまうのではないかと夢想する。買わないけど。買ってもすぐ使わなくなることくらい、自分のことくらい、わかっている。
大好きなお店、山東でお昼ごはんを食べる。わたしは豚バラのつやつやに煮込まれたものを食べる。ぽんちゃんは水餃子を食べる。ここの水餃子がお勧めだ。最近、家で水餃子を何回か食べたところなので、わたしは自分では作らない、厚めの豚バラのものを頼んだ。
関帝廟の前の古本屋さんに入る。中国にまつわる本がたくさんおいてあって、ブックカフェにもなっていて、中で本が読める。店前に並べられた本を眺める。陳舜臣の本が多くあり、実家の本棚を思い出す。陳さんが神戸生まれだからうちの父が贔屓したかったのか、父が歴史ものが好きだからなのか、うちにも多くあった。ただわたしは高学年児童用に書かれた『水滸伝』(陳さんの作品ではない)が好きになれず、歴史ものは苦手かもしれないという意識をそれ以来もってしまったので、陳舜臣の作品は読んだことがない。
関帝堂書店というその本屋さんの棚に、中国と関係のない一冊を見つけた。買おうかどうか、中華街をぐるぐるしてコーヒーを飲んで、結局買いに戻った。ここではまだタイトルは書かないが、帰宅後に一章と巻末の資料頁を読み、おもしろさに興奮している。大正解だ。
ベトナム・ハノイに本店があるという、カフェ・ジャンに入る。去年の春から、つまりこのお店のオープンを知ったときから、ここのエッグコーヒーを飲みたかったのだ。卵黄に砂糖を混ぜてあってカスタードのような甘さ。それと濃いコーヒーとをぐるぐる混ぜて飲む。保温のためにカップは湯せん皿に入っており、ぽんちゃんと話すのに夢中だったわたしは湯せんの湯をふとももにこぼしてしまった。
ぽんちゃんには、「うにちゃん(わたしのこと)の書く文章は良いよ、がんばれ」と励ましてもらった。自分を構成しているものは児童書が多くを占め過ぎていて、わたしの書く文章は幼すぎるのではないかと不安になるときがあるので、こういう励ましはとても心強くて、心の底からお礼を言った。
肉まんを買おうと、また中華街をぶらぶら歩く。牡蛎の入ったお粥を大写しにした看板を見つける。
「ここいいね!今度ここに来よう!」
と大急ぎであけたGoogleMapには、過去のわたしがすでに〝行きたい″の星マークをつけていた。忘れっぽい自分にムカついて、星マークのさらに上に、『お粥専門店』とフラグを立てておいた。こうすればこのお店になぜ行きたかったのか、きっと今回よりすぐに思い出せるはずだ。
甘栗の押し売りに注意、という看板はいつ見ても可笑しい。甘栗・注意のワードがバラバラすぎて笑えてしまう。
「甘栗いかがですかぁ」
かわいらしいお姉さんに声をかけられ、肉まんを探してるんですよねぇと答えてしまう。肉まんあるよ、パンダまんもあるよ、とどんどん紹介されるが、笑顔がすてきなのでつい会話してしまう。よくない。もしかして、甘栗を大量に押し売られてしまうかもしれない。ほかも見て、また来ますと答えてその場を去ったが、ぐるぐると歩いて結局そのお店に戻ることにした。律儀に戻ってきたわたしたちを笑顔で迎えてくれるだろうかと思っていたが、そのお姉さんはもうそこにはいなくて、でもそこで買おうと決めていたから、お店のお母さんから肉まんを買った。