新横浜ウォーキング03 新横浜から城址へ
朝起きておにぎりを母が作ってくれて家族で山へ登ろうという休日をときどき子ども時代に過ごしていたので、たまに山に登りたくなる。
山は近所に無いので、先日、新横浜から隣の駅の小机駅あたりにある小机城址を目指して、歩いてみた。ずっと住宅街である。畑があり、野菜直売所には透明の扉のコインロッカーにキャベツやネギが入れられている。
30分か40分かずっと平たい道を歩くと、竹藪があらわれ、急こう配の坂道を登って入っていける。土というのは不思議で、すっと気温が下がり、お腹がひんやりしてくる。山に行きたかったが、これはちんまりとした丘である。途中で老夫婦とすれ違う。
コンクリートの坂道を登り終えると、丘の上に着く。依然、竹藪の中だ。見晴らし台のようにはなっていない。よく調べずに来たら、本当に城址というだけあって、建物なんかは何もなく、空堀の跡、やぐらのあった空き地、なにかがあった空き地という風にとにかく何もない。竹藪だらけだ。
空堀沿いをぐるりと歩いてみる。もう少し先に行くと高速道路が遺構の上をまたいでいるというのでちょっと珍しい景色かもしれない、と迷ったけれど、あまりここには居たくなかったので先には進まないでおいた。
姿は見えないけれど、楽器の練習をしている人がいる。高校生かもしれないしおじさんかもしれない。どんな顔で行違ったらいいのかわからないので近づかないことにした。
黒いAラインのダウンジャケットを着て、手さげかばんをひじにひょいとひっかけたご婦人とすれ違った。確かにここは山ではないから登山用の服装で無くてもおかしくはないのだが、ご婦人はまるでこの先に自分ちがあって買い物に行ってきた帰りなんですという軽々しさで藪の中に居る佇まいではなかったので、彼女の後ろ姿を何度かちらちらと盗み見した。
ちょっとした丘の上の竹藪の中をぷらぷらと歩いてみたものの、見渡せる高台があるわけでもないので、飽きてすぐに帰ることにした。帰り道は男性がひとり、それぞれがiPadを抱える老夫婦ひと組と出会い、こんにちはとあいさつをして階段を下った。
このタイトルは新横浜ウォーキング03である。02では海に行った。01はどこに行ったのだろう。実は01は無いのだ。まだ無い。