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「自分の気持ちに気がついたから別れたい」について思うこと。

「あなたと一緒にいることがストレスだと気がついたから、別れて欲しいの」

妻からそう言われ困っている男性のお話を何度も聞いてきました。

妻としては、今まで夫に対してガマンしてきたことがたくさんあったけれど、今まではガマンしていることにすら気がついていなかった。

今は過去に夫にされた嫌なことがトラウマになっていることがわかる。

このままでは私は幸せになれないから、あなたと別れたい。あなたと別れれば、すべて解決する。

さあ早く、離婚届に判を押して!

夫としては急な話でびっくりするわけです。

この場合、離婚することがお互いにとっていいことなのでしょうか?

家庭内暴力などやむを得ない事情があれば、ぜひそうした方がいいと思います。

でもそうでないなら、「離婚しか選択肢がない」とは、ぼくには思えないんです。

夫婦関係に悩む多くの方のお話を聞いていると、産後クライシスが発端になっているケースが多いです。

産後に夫が妻を支えなかった。それは家事育児という単純な話ではなく、精神的な寄り添いもなかったことを意味します。

生まれたばかりの子供に何かあったらどうしよう?朝起きたら死んでいたという恐ろしい話も聞くし、全然目を離せない。心配で仕方ない。

子どもが生まれたばかりって、そんなことばかりどうしても考えてしまいますよね。

初めての子どもだったらなおさらそうなりますよね。うちも、しょっちゅうオムツを変えたり、毎日必ずお風呂に入れたり、寝ている時に寝息を確かめたりと、必要以上に子どもの安否が気になっていました。

というか、どこまでが本当に必要なことなのかわからないから、とりあえずやった方がいいことを全部やってしまうんです。

ある日、子どもが1歳くらいの頃、妻が夕方から22時まで友達のところに出かけていたことがあったんです。

双子たちは夕飯後に元気よく遊び続け、そのまま寝室で寝てしまったんです。

家に帰った妻は、ぼくが双子をお風呂に入れなったことにショックを受け、「不潔じゃないの……。」と言って泣き出してしまったことがあるんです。

(今の妻にとっては笑い話ですが)

育児の当事者として真っ最中の母親にとっては、人の話は耳に入らず、ましてや当事者意識の少ない夫の話なんて、まったく耳に入らなくなるんだと思います。

また、妻や子どもが風邪やインフルエンザやコロナで倒れているときに、夫が助けてくれず、それが恨みとなっているケースも多いです。

それから、妻が何を言っても正論と理屈で夫が返してくるので、気持ちをまったく受け止めてもらえず、夫を嫌いになったというケースも多いです。

肉体と精神の両方で妻を傷つけ続けたために、夫を信用できなくなったんです。

そして、さらに大きな問題は、これらに当事者である妻自身がなかなか気がつけないということです。

どこだってこんなものよね。夫なんてこんなものよね。

私は妻だから、私は母だから、やらないといけないのよね。

私がガマンすればいいのよね。

自分に「妻」や「母」というレッテルを貼り、それに違和感を感じつつも、その違和感を言語化せず、放置し続けたこと。

これが何年も経って、夫への嫌悪感という形で妻を襲うのです。

そして、妻はこう思うんです。

夫と別れれば、すべて変わるはず。
夫と一緒にいることがすべての元凶。
私は夫と離婚しないといけない。

「ねぇ、お願い。別れて」

だけど、冷静に振り返ってもらいたいのですが、今までずっと言いたいことを妻がガマンしてきたことによって、夫は「妻は今の状態に大きな不満を抱いていない」と勘違いしてしまったんです。

いや、そこは察してよと思うかもですが、察して欲しいという女性は家事育児能力が高いからワンオペができてしまい、ギリギリでなんとかなってしまうんですよね。

我慢し続けた女性は認知症になるケースが多いそうなので要注意です。

妻としては、やっと今になって気持ちが言えたわけですよね。

私はこの状態が嫌だと。なんとかしたいと。

それはとてつもなく大きな一歩だったと思うんです。

今まで辛くてずっとガマンしてきて、夫に言っても相手にしてくれなくて、嫌な思いをしてきたけど、勇気を振り絞って言えたわけですもんね。

それって、すごいことだと思うんです。

そして、夫もそれを受け止めて、なんとか変わらないといけないと思っているなら、それは二人に起きた奇跡のような瞬間だと思うんです。

コミュニケーションが断絶していたのに、やっと妻が自分の気持ちに気がつき、言いたいことが言えて、夫もそれを受け止めてくれた。

ならば、それって夫婦を終わりにする話じゃなくて、そこから本当の夫婦が始まる話なんじゃないのかなって思うんです。

相手を刀で切り捨てて関係そのものを終わらせる話じゃなくて、感情という竹刀を持って、コミュニケーション稽古をするタイミングになったんじゃないのかなって思うんです。

夫がこちらの気持ちを受け止めてくれないからもう終わらせると思いがちだけど、そもそも夫は妻の気持ちに気がついてすらいなかったんです。

妻が何を思い、何を感じていたのか。それを知った今なら妻を受け止められるようになるし、二人にとっての最適な生き方を一緒に考えられるようになると思うんです。

実際に立ち向かわれた方もいらっしゃいます。

もし、夫から受けた心の傷が大きすぎて辛い場合は、トラウマ治療を検討してもいいかもしれません。

この記事は浮気のトラウマについてですが、浮気に限らず、多くの女性は夫婦関係の中でPTSD並みのトラウマを知らぬ間に得てしまっていることがあります。

もし、自分の気持ちに気がつくことができ、それを夫に伝えることができ、夫がそれを受け止めてくれるのであれば、それが終わりではなく、始まりなんじゃないのかなって、ぼくは思っています。

少しでも参考になれば幸いです。

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