【読書感想文】暗幕のゲルニカ 原田マハ
今年の6冊目に選んだのは大好きな原田マハさんの本です。
実はこの本は去年から読もうと思っていて読めていなかった本です。
えらい本を読んでしまったっと興奮冷め止まぬ間に感想文を書こうと思いましたが・・・興奮しすぎて文章がまとまらなかったので一度書いて落ち着いてからUPしました(汗)
この本との出会い
私が読んだ原田マハさんの初めての本は『楽園のカンヴァス』でした。
この本は当時、本が読みたいけど何が読みたいか分からない時に本好きの妹におすすめを何冊か貸してもらったのがきっかけでした。
『楽園のカンヴァス』をきっかけに原田マハさんの本は何冊か読みました。
特に美術品に関する話はその作家の作品を目にするきっかけがあれば探して読みました。
その妹から去年おすすめで貸してもらっていたのがこの『暗幕のゲルニカ』でした。
文庫本で貸してくれたのですが、最初その分厚さにこれは読むの時間がかかりそうだなと思って本棚に仕舞い込んでしまいました。
終いには妹から一度返してと言われて返したくらい本棚にいた本です。
それから今年の目標に本を読むという目標を立てて本を読み始める一冊に選んだのが原田マハさんの『生きる僕ら』でした。
読書感想文1回目の記事です。
読み終わってやっぱり原田マハさん面白い!と再認識して,もう一度妹にあの本貸して!と言って貸してもらって読むことにしました。
本の紹介
暗幕のゲルニカ 著者 原田マハ
暗幕の下にこそ、決して目を逸らすことのできない真実がある
ゲルニカを消したのは誰だ――? 衝撃の名画を巡る陰謀に、ピカソを愛する者たちが立ち向かう。現代と過去が交錯する怒濤のアートサスペンス!
ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレータ ー八神瑤子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑤子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒濤のアートサスペンス!
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表題の作品を描いたピカソと繋がりのある人たちの話です。
ピカソが生きたパリの1937年からと2001年9・11テロ事件からの話が各章同じタイトルでピカソのゲルニカで繋がって物語が進んでいきます。
ピカソ時代の話の主人公はピカソではなくピカソの愛人“ドラ“がこちらの物語の主人公です。
ドラから見たピカソがゲルニカを描くまで、その後ピカソと共に生きた話が描かれています。
もうひとつの話の主人公”瑤子”はMoMAのキュレーターで9・11テロ事件で夫を亡くした女性です。
ニューヨークでキュレーターとしてテロ事件をきっかけに反戦と戦うためにゲルニカを追ってキュレーターとして活躍する話です。
私の感想文 ※ネタバレ有
冒頭の2001年代の主人公”瑤子”の10歳の頃の話で瑤子が『ゲルニカ』に磁石のように引き寄せられたように私はこの冒頭でこの小説に引き込まれました。
これから始まる話に吸い込まれて抜け出せない感覚にワクワクが止まらなくなりました。
全体を通した感想は2つの話の主人公の女性の強さに魅了されました。
ドラはピカソの複数いる愛人の一人でも自分だけは違うという強い芯を持っているのですが、後半に連れて心がかき乱されていきます。
ピカソの作品で『泣く女』はドラをモデルに描かれたそうです。
私は自分の心情をあんなにも赤裸々に描かれるのは私なら嫌だなと思いました。
しかしピカソと共にゲルニカを守るために戦った女性で最後のピカソからの去り方もかっこいいなと思いましたし、私の中では最初から最後までカッコいい女性でした。
瑤子は夫を9・11テロ事件で亡くし、その思いから反戦を訴える展示の為にピカソのゲルニカを展示されいるスペインから借り出す為に奮闘します。
奮闘するなかで様々な人が助けてくれます。
それは瑤子が強い意志をもって行動したから得られた助けに感じました。
事件に巻き込まれながらもその意思を貫き通したかっこいい女性でした。
この本の表紙の後の一ページ目にこんな文章がありました。
芸術は、飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ。
ーパブロ・ピカソ
ピカソはスペイン内戦中に行われたゲルニカ空爆をきっかけにゲルニカを描きました。
ピカソは芸術で反戦を訴えました。
そして瑤子も9・11テロ事件の関係者として、そしてMoMAのキュレーターとしてゲルニカを使って反戦を訴えることと戦いました。
皆がそれぞれ自分のもつ武器で反戦を訴えています。
そしてもう一人。
私はこの本を読み進めるうちにこの本の著者 原田マハさんもこの本を書くことで反戦を訴えているのだと思いました。
ピカソの反戦の思いを感じそれをさらに今の私たちにも分かりやすく伝えてくれる本だと感じました。
五つ星評価
出版社 : 新潮社 (2018/6/28)
文庫 : 510ページ
世界観(景色)3.0★
テンポ・長さ 4.0★
意外性 4.0★
トータル 4.0★
今年読んだ本の中で一番長い本だったのに読みだすとあっという間でした。
前回の読書感想文でも書いたように私は短編小説など話が一旦区切られるとなかなか次へ進めない癖があるのです。
今回の話は二つの話が交互に進んでいくので同じ様になるかと思いましたが、まったくそんなことはなく時代を超えて交差してくる二つの話に夢中になって読み進めることが出来ました。
舞台はピカソ時代がフランスのパリが主で、2001年代の方はニューヨークとスペインが主でした。
この話ではその舞台に関する景色などよりも、そこで関わる人や歴史について詳しく書いている印象がありました。
今回この本を読んで一番行ってみたいと思ったのはゲルニカの原作を見にスペイン マドリードのソフィア王妃芸術センターに行きたいと思いました。
まとめ
あ~やっぱり原田マハさんのアート小説は面白い!
と改めて感動しました。
個人的に今一番はまっている作家さんなので、感想などかたよりもあると思いますが私のつたない文章を読んでみたいと思ってもらえると嬉しいです。
そして、この後さらに原田マハさんの小説を2冊買い足しました。
またちょこちょこ原田マハさんの読書感想文が登場すると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
あつぱんだ。