2019/10/01「YC Summer 2019から紐解くスタートアップ新潮流」まとめ
初めまして!
Sevenwoods Investment/TENTIALの計2社でインターンしている大学2年土門と申します。
2019/10/01に行われた
「YC Summer 2019から紐解くスタートアップ新潮流」に参加してきたので、まとめました!
<ゲストスピーカーの方々(敬称略)>
m&s partners Pte. Ltd. Founder/Director 眞下 弘和
株式会社WiLパートナー 久保田雅也
株式会社DGインキュベーション Managing Director 上原 健嗣
「YC Summer 2019大枠」
・チームの大型化(demoday時点でバリュエーション10M以上が標準)
・1batchあたりの参加チームの増加(前々回より会場変更)
・インドやラテンアメリカなどの市場をターゲットにしたチーム増加
・女性ファウンダーも(意識的に)増加
・ビジネスモデル自体は過去バッチにあったものも
・旧態依然の産業や業界のディスラプトも多い
「Request For Startups (26)」
AI
Bio
Brick and Mortar 2.0
Carbon Removal Technologies
Cellular Agriculture and Clean Meat
Cleaner Commodities
Computer Security
Diversity
Education
Energy
Enterprise Software
Financial Services
Future of Work
Government 2.0 NEW
Healthcare
Improving Memory
Longevity and Anti-aging
One Million Jobs
Programming Tools
Robotics
Safeguards Against Fake Video
Supporting Creators
Transportation & Housing
Underserved Communities
Voice Apps
VR and AR
「久保田雅也 全体のトレンド」
1)197社で前回とほぼ同数。BtoBソフトウェア全盛。なかでもデベロッパーツール、バイオテック多し。
かつてトレンドだったVR、モビリティ、音声インターフェース、IoTなどは姿を消した。暗号通貨は2社のみ。
2)米国外の参加チームは全体の38%と増加。南米とインドが多い。ユニコーンのTime Machineモデルで、”Robinhood for India” “OYO in Latin America”的な。
米国での顧客獲得、シリコンバレーでの人材採用、本国でのYC卒ブランドの希少性など理由は様々。全体の28%がチームの一人は女性とこちらも増加
3)YC卒でシリーズAに到達できるのは全体の約3割とのこと。ある投資家曰く、前回のバッチで人気だった企業に投資したが、半分は結構辛い状況らしい。
激しさを増すスタートアップの競争環境
4)投資家の顔ぶれは一層多彩に。CVCやレーター、海外投資家など溢れかえるマネー。人気スタートアップへの投資家間競争は激しくなる一方で、シリーズA以降の投資家がアーリーに参画したり、
一連のIPOで資金を得たエンジェルなどが続々と参入している印象
5)バリュエーションは前回と同レベル。プロダクトローンチ2-6ヶ月、月の売上が$20-100Kで、ポストマネーで$8m-$15mな印象。(YCではコンバーティブルエクイティでの調達を推奨)
特に上がっている印象なし。SAFEのキャップがポストマネーがテンプレになったため、バリュエーションもポストマネーで語られる場面が増え、その分バリューも上がって見える錯覚。
6)元Googleや元Facebookより、AirbnbやWeWorkなど未上場ユニコーン出身が多い印象。Mix PanelのコファンダーやDoctor on DemandのCTOなども登壇。長期化するIPOの影響。
そして、良好な起業・調達環境は継続。大手テック企業の優秀人材をマークして、やめたら即出資するするケースを「シード(種)」より前の「ソイル(土壌)」「プレアイデア」ステージと呼ぶそうw
7)demoday前に調達を終えた人気企業でも、会場で投資家とネットワーキングしているのもちらほら。シリーズAの大型化傾向で、次のラウンドに向けたVCとの関係づくりや、VCの投資先にプロダクトを
宣伝する狙い。スタートアップを初期顧客にしてスケールするケースが増え、、バッチ企業の増殖とともに他のYC同期が初期カスタマーというのも増えた
8)Slack, Asana, Google Docsと増え続けるアプリケーションのおまとめ、バンドルなど統合する動き。BtoBはコンシューマライゼーション、SlackやDropboxやZoomの様に、エンジニア層の個人課金から法人契約へとアップセルをイメージした生産性向上ツールが多い
9)テック人材の教育育成と人材マッチング。ISA = “Income Share Agreement”、授業料は無料にして将来の収入の一定割合をシェアするマネタイズのスキームが一般的に。教育費用ファイナンスがデットからエクイティへと進化
10)メディアはGenZ向けなど一部、ECは小柄女子向けファッションや大学ロゴ入りファッションなどニッチ、フィンテックはギグワーカー向け銀行や学生ローンの返済最適化ソフトウェアなど。どちらかというと存在感薄く、メディアやフィンテックはもはやアジアや中国が先行している感。
「久保田雅也 注目の5社」
[Nomad Rides]
手数料無料のライドシェア。ドライバーは月25ドル払うと売上の100%を受け取ることができる。25-40%に上る手数料にドライバーの反発が強まるなか、”Kill Uber/Lyft”を掲げており、ドライバーはこれまでより20%多く稼げるという。
[Everloved]
葬儀計画の作成、葬儀事業者の比較に加えて、葬儀費用のクラウドファンディング、参列者への葬儀に関する情報共有、メモリアルWebページの作成なども行う。
[Tandem]
リモートワーカー向けコラボレーションツール。簡単な操作で起動でき、主要なエンジニアツールが接続され利用可能なのが特徴。週次で50%成長、ローンチ後1ヶ月で$7.5Mを調達完了(リードAndreessen Horowitz)。一ヶ月で40億ぐらいのバリュエーション付いている。
[Juno College]
1ドルで受講できるプログラミングスクール。年収が5万ドルになるまで授業料は免除されるが、就職後2年間は年収の17%を支払う(ISA= “Income Share Agreement”)
[Legacy]
家庭で手軽にできる精子の検査、保存サービス。精子の数は過去40年で半減しており、あと40年でゼロになるという調査もある。カスタマーライフタイムが長く、コストは冷凍保存のみで80%の利益率を誇る。
[AudioFocus]
スマホを使用した補聴器。騒音が激しい場所でも相手の会話が聞こえるイヤホン。機械学習を用いて、話者の音とそれ以外を仕分ける。創業者はGoogle BrainでAI研究を行なっていたチーム。
補聴器市場は30年イノベーションが無い領域。
「上原 健嗣 振り返り」
BtoB向けSaaSが40%でフィンテックとヘルスケアで30%で残り30%のイメージ。
[領域]
Aerospace - 1%
Agriculture - 1%
B2B Software and Services - 36%
Consumer Goods and Services - 16%
Consumer Media - 7%
Education - 2%
Energy and Environment - 2%
Finch - 13%
Government- 1%
Healthcare - 14%
Industrial - 2%
Real Estate and Construction - 5%
38%がアメリカ
「上原 健嗣 注目の5社」
[matagora]
投資検討もした。
小売のエアビー。お洒落な棚をいろんなブランド、サプライヤーが置ける。在庫は持たない
[Nomad Rides]
Uber/Lyftの赤字が止まらない理由としては、ドライバーの獲得コストが下がらない
うまく課題を解決していて、ドライバーの獲得がしやすいモデルではある。
[preclus]
ヨーロッパGDPRの意識がつよい。個人情報を勝手に使わせないという思想が根底にある。
AIとタグ付けを使って自分の個人のデータを可視化してデータベースに登録するサービス
[LUCID]
ドローンを使って家を掃除するサービス。
アメリカの家はデカくて外壁、窓を掃除するの大変
[vitau]
薬をデリバリーする会社。
「眞下弘和 振り返り」
(興味のある)5つの潮流
(ストーリー1)Edu-tech大学関係& Fintech
(ストーリー2)中国発のBig Wave to インド
(ストーリー3)インド
(ストーリー4)eSports ゲーム/エンタメ
(ストーリー5)B2B
「眞下弘和 注目の5社」
(ストーリー1)
[Scholar Me]
大学ファイナンスの選択肢を提供し、学生が就学に必要な資金調達ポートフォリオ管理をサポートし、ユーザーの人生設計に役立ち、米国のローン問題の解決に役立つ
[Sable]
米国に来た留学生に対するモバイル銀行
[Prenda]
米国の公文
(ストーリー2)
[Mela]
インド版Pinduoduo、ソーシャルコマース
(ストーリー3)
[Khabri]
インドのPodcasts
[My Petrol Pump]
B2B燃料デリバリー
(ストーリー4)
[Figments]
eSports
[Athlane]
eSports
[Fad Mania]
group game
[Zenith]
マルチプレーヤー
[MoFE]
VRベースDisney
(ストーリー5)
[Embrace]
アプリのパフォーマンスモニタリング
[Business Score]
信用審査、事業承認
「Q&A」
・日本にもハマりそうだなーってトレンドとかありましたでしょうか?(特に眞下さんにお伺いしたい)
→学校関係。学生のローン地獄は日本でも多い。教育機関の効率的なソリューションが海外で成功事例として出れば日本に持って来やすいんじゃ?
→エンタメ、VR。アメリカだけじゃなくて、世界中に来ているものだけど、地域によって
→ブロックチェーン。技術自体はまだまだホット。
・ノマドライドはお二方があげてらっしゃいましたが、Uberが同じ費用体系で攻めたら一気に潰されそうにも思うんですが、投資観点ではあまり気にならないでしょうか。Uberに買われることも含みでなんですかね。
→小さな競合を殺すためのコストがでかすぎる。
・①家・住まい関係②健康系で面白いものはありましたか?
→Airbnb by the hour(エアビーよりもマーケットはでかい)
・「人の流れ」という観点でいうと、GAFA・大企業→←スタートアップ間の流動性はどちら側に増してるんでしょうか?また、セグメントでいうとどこに集まってますでしょう
→GAFAに10年いたみたいな人はなかなかいない。元GAFA的な人の起業もしくはジョインっていう文脈はある
→人の移動でのトレンドは①シリコンバレーの地価上昇②ホームレスの増加
・YCの魅力は?
一社一社が粒ぞろい。刺激的でエネルギッシュな空間が独特の雰囲気
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