ジャパンゴルフツアー改革案(私案)
今年で四半世紀を迎えたジャパンゴルフツアー。
この25年間で世界のゴルフ界は相当な変化があったものの、ジャパンゴルフツアーではこれと言った変化が見られませんでした。
特にこの2点について「本当に出来ないの」と思う点があります。
・複数年シードの扱い
・年間の成績やシード権の指標を、賞金ランキングからポイント制に移行
1.複数年シードの開始年を変更してみては
〇複数年シードを持っている選手が、より海外へ目指せる環境に
現在ジャパンゴルフツアーで、以下の条件を満たせば複数年のシード権を得ることができます。
1.5年のシード
・当該年の賞金王
・日本オープン選手権優勝
・日本プロゴルフ選手権優勝
・ジャパンゴルフツアー選手権優勝
2.3年のシード
・日本シリーズ優勝
3.2年のシード
・当該年のジャパンゴルフツアー公認競技に優勝
※当該年に2回以上優勝した場合、次の1勝ごとに1年間シードが延長される。ただし4年を最長とする。
よく賞金王になったり、日本タイトルを優勝した選手が「これを元にして、海外へ挑戦したい」というのもこのためです。
試合に出場できる権利が長く続けば、選手としてこの上ありません。
ただしジャパンゴルフツアーでは、その複数年のシード権は翌年から行使されるので、いくら海外で活躍しようとも、シードの期限が切れたらそこまでといった現状です。
(たとえ長期シードが切れたとしても、海外のツアーに出場できる権利があれば、資格延長を申請し承認されれば1年分のシードが延長されるというのもあります)
これに対し、JLPGAツアーではどうなっているでしょうか。
〇JLPGAツアーは複数年シードの開始年を自由に選べる
〇複数年シードの権利を”好きなときに使える”
現在、JLPGAツアーでの複数年シードは以下の通りです。
1.4年のシード
・メルセデスランキング1位(年間女王)
2.3年のシード(公式戦優勝者)
・ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ
・ソニー日本女子プロゴルフ選手権大会
・日本女子オープンゴルフ選手権
・JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ
男子よりも短い期間になっています。
ですが優勝した翌年から10年間、自分が好きなときに権利を行使できるように19年から制度が変わりました。
例えば今年メルセデスランク1位で4年間の複数年シードを獲得し、翌年からはUSLPGAツアーに出場。ここで5年戦ってきたが日本に戻りたいといったときに、4年の複数年シード使用を行使することが可能です。
※1 東京五輪銀メダリストの稲見萌寧選手は、5年の複数年シードを保持しており、22年から10年の間(31年まで)使用できます。
※2 公式戦に複数優勝した、畑岡奈紗選手(19年2勝)と原英莉花選手(20年2勝)は5年間の複数シードを保持しており、畑岡選手は30年、原選手は31年まで使用可能です。
※3 公式戦に1勝(以上)しかつメルセデスランキング1位になった山下未有夢選手は5年間の複数年シードを保持しており、昨年から32年までの間に1度、そして今年から33年までの間でもう1度使用可能です。
このように好きなときに複数年シードを使用できるメリットがあることで、USLPGAツアーに出場しやすくなった例が多く見受けられます。
稲見選手を始めとして、西村優菜選手、吉田優利選手(ともにワールドレディス優勝)、勝みなみ選手(日本女子オープン優勝)などが複数年シードの恩恵を受けています。
男子もこのような制度があれば、海外のツアーに出ても心配なくできると思いますが、どうでしょうか。
2.年間の成績を示す指標が賞金ランキングなのは、ジャパンゴルフツアーのみと言っても過言ではない
〇指標をポイント制にしたPGAツアー、これに追随してきた各ツアー
07年からPGAツアーは、これまでの賞金ランキング制度を、試合ごとに定めたポイントを獲得していき、ポイント上位選手達で争うプレーオフ制度を導入しました。
これまで終盤になるとゴルフファンの興味が薄れてしまうのを防ぐため、導入された制度です。
最初のうち、ツアーカードの指標をポイント制と賞金ランクの並立制だったのですが、ポイント制に一本化しました。
PGAツアーに追随して09年からDPワールドツアー、14年からUSLPGAツアー、18年から欧州女子ツアーが年間成績の指標をポイント制に移行しました。
日本もJLPGAツアーが20-21シーズンからポイント制に移行し(賞金ランクと並行)、22年から完全移行しました。
韓国男子プロゴルフツアー、サンシャインツアー(南アフリカの男子プロゴルフツアー)、オーストラレイジアツアー(オーストラリアとニュージーランドの男子プロゴルフツアー)でも近年ポイント制が採用されています。
なのにジャパンゴルフツアーは、まだポイント制を採用せず、従来通り賞金ランク制を頑なに守り通してしているのが現状です。
〇賞金ランク制では”不公平”が起きる
毎年日本で開催されるPGAツアー、ZOZOチャンピオンシップ。
ジャパンゴルフツアーとPGAツアーの共催です。
開催初年の19年は、優勝賞金が175万ドル(当時で約2億円)ということもあり、ジャパンゴルフツアーから出場した選手は、獲得賞金の半分が賞金ランクに加算されるシステムを採用していました。
「ジャパンゴルフツアーの選手が優勝した場合に、この大会だけで賞金王になる懸念があること」が主な理由です。
翌20年(20年はパンデミックのため、アメリカで開催)からは賞金ランク対象外の試合になってしまいました。
「ZOZOチャンピオンシップ1試合優勝しただけで、賞金王レースが決まってしまい、それ以降の大会主催者に迷惑がかかる」という日本ゴルフツアー機構(JGTO)の判断でした。
もしこれが、ポイント制で行っていたらどうなったことでしょう。
3.ポイント制を導入するなら、自分はこうしたい
まず、フェデックスカップのポイント配分を、そっくりそのままマネします(優勝者500ポイント)。
これを普段の試合で用いることとします。
優勝 500ポイント
2位 300ポイント
3位 190ポイント
4位 135ポイント
5位 110ポイント
6位 100ポイント
7位 90ポイント
8位 85ポイント
9位 80ポイント
10位 75ポイント
11位 70ポイント
12位 65ポイント
13位 60ポイント
あとは上にあるブログの表にある通りです。14位の57ポイント以降は、順位が1下がるごとに1ポイントずつ減っていきます。
タイが出た場合は、タイがでた順位分のポイントの合計を、タイの人数で割った値がポイントとなります。
(例)
2位タイが3人出た場合、2位、3位、4位それぞれのポイントを足して3で割った値が、1人あたりのポイントとなる。
(300+190+135)÷3=208.3≒208
※小数点以下は四捨五入
よって3選手には、それぞれ208ポイントが入る。
そして、特殊な試合に関しては以下の通りにします。
・”日本”が付く試合
通常試合の1.5倍(優勝 750ポイント)
・共催試合(PGAツアー、DPワールドツアー)
通常試合の 2倍(優勝 1000ポイント)
・4大メジャー
通常試合の 4倍(優勝 2000ポイント)
・VISA太平洋、ダンロップフェニックス、カシオワールド
通常試合の1.2倍(優勝 600ポイント)
これで順位に応じたポイントを各大会の成績ごとに与え、積み重ねたポイントで順位やシード権を決めていくのがいいと考えます。
(毎年試行錯誤を繰り返すことにはなると思いますが)
4.ポイント制にすれば、1試合1試合が大事になる
賞金ランクで決めていたときは、賞金額の少ない試合は選手から”敬遠”されがちです。
大きな試合が続く中で賞金額の試合がポツンとあれば、有力選手達は”スキップ”をするのが常套手段です。
しかしポイント制に移行すれば、賞金額の大小に関係なく、通常の試合は優勝してもポイントは一律なので、より公平に1年間の戦いが見られるのではと考えます。
年間を通した計画が求められそうです。
5.今こそ”変革”の時期では
今年からJGTOの新会長が、諸星裕さんになりました。
ゴルフ関係者以外からの人選は、海老沢勝二さん以来8年ぶり3人目の登用です。
今までの常識を打破するためには、これくらいの改革をしていかなければならないでしょう。
四半世紀もの間、このままでいいという”思考停止”状態を続けてきたのですから。
それと選手の中にも、海外のツアーを経験した選手もいるはずです。
なぜこのような”改革”を言わなかったのか、不思議です。
このような私案を出してみましたが、どうでしょうか?
変革する気になってくれればいいのですが、それでも二の足を踏むようなことがあれば、こちらから質問させてください。
「賞金ランクで決めることのメリットを、ファンに教えてください」。