いろいろな”寂しさ”がある、ジャパンゴルフツアーの終盤戦
1.ツアーの活気を帯びなくてはならない終盤に生じた”オープンウィーク”
今年当初発表された日程では、試合数23という日本ゴルフツアー機構(JGTO)が発足してから最小となったジャパンゴルフツアー。
その後ハナ銀行インビテーショナルを韓国ツアーとの共催試合として組み込み、24となったものの歯抜けのスケジュールは変わりありません。
〇終盤戦を支えたスポンサーが続々と撤退
朝日放送(現・ABCテレビ)が主催する、日米対抗ゴルフ大会が始まったのが半世紀前。そこから4日間のストロークプレーに大会を変更し、特別協賛社にフィリップモリスジャパンを招いたラークカップゴルフ(フィリップモリスチャンピオンシップ)をグループが所有するABCゴルフ俱楽部で開催しました。
1988年にスタートし、賞金総額が1億5000万円(優勝2700万円)。初代チャンピオンは高橋勝成でした。
尾崎将司とのデットヒートは、前年の日本プロゴルフマッチプレー選手権決勝と双璧の試合でした。
1990年には”怪物”ルーキー・川岸良兼がツアー3勝目を挙げ、こちらも尾崎将司とのデットヒート。
そしてこの3勝はいずれも”AON”を下しての優勝でした。
その後尾崎直道、飯合肇、田中秀道が歴代優勝者に名を連ね、1998年ついに尾崎将司もその輪に加わりました。
2002年大会を最後にフィリップモリスが後援を撤退。その前後で谷口徹、伊澤利光、片山晋呉など日本のトッププロ達が優勝し、2008年にマイナビが特別協賛社となりました。
その年の大会で、石川遼が”プロ初優勝”を飾ります。ウォーターショットは今でも語り継がれる一打です。
その後池田勇太、金庚泰(キム・キョンテ)、堀川未来夢が歴代優勝者となり、昨年ルーキーだった中島啓太の優勝で大会の幕を閉じました。
終盤戦でスポンサーを降りたのは、朝日放送だけではありません。
一昨年まではゴルフ場を経営するPGMグループ、そしてこちらも半世紀近い歴史があったブリヂストンも3年前に撤退しました。
三井住友VISA太平洋マスターズ、ダンロップフェニックス、カシオワールドオープンと大きな大会が3大会続く前にPGM、ブリヂストン、朝日放送、そして古くはダイワ精工(現・グローブライド)や宇部興産などが日本オープンと3大会の間に大会を主催していましたが、いずれも撤退してしまい、ZOZOチャンピオンシップが間にあるものの遂に日本オープンから直接3大会に続く、ゴルフシーズンであるはずの期間でジャパンゴルフツアー試合がないという、”寂しいオープンウィーク”となりました。
2.大きな3大会も”寂しい内容”
〇各大会の概要
三井住友VISA太平洋マスターズ、ダンロップフェニックス、カシオワールドオープンの3大会も半世紀に及ぶ歴史を持っている大会です。
一昨年50回を迎えた三井住友VISA太平洋マスターズ、この年はギャラリーの入場料を無料として開催。期間中約4万人集まりました。
50回記念大会を優勝したのは石川遼。尾崎将司と中嶋常幸に並ぶ大会3勝目となりました。
セべ・バレステロス、ホセ・マリア・オラサバル、グレッグ・ノーマン、リー・ウエストウッド、ダレン・クラークなどの海外選手が歴代優勝者に名を連ねます。
その中にはアマチュア優勝も2回、松山英樹(2011年)と金谷拓実(2019年)です。
昨年50回を迎えたダンロップフェニックス、招待選手に松山、ブルックス・ケプカ、ウィンダム・クラーク、サティス・ティーガラなど。
歴代優勝者もバレステロス、トム・ワトソン、アーニー・エルス、デビット・デュバル、タイガー・ウッズ、パトレイグ・ハリントン、ルーク・ドナルド、そしてケプカなどの海外選手に、中嶋常幸、尾崎将司、片山晋呉、池田勇太、そして松山と日本や海外を問わないビックネーム達が優勝者に名を刻みました。
話題性を集めた昨年の50回記念大会は、これまた招待選手だった当時アマチュアの杉浦悠太がアマチュア選手7人目のツアー優勝を果たしました。そしてアテスト終了後、ツアープロ宣言をして優勝賞品のベンツと宮崎牛を獲得したのも記憶にあるところです。
開催当初は鹿児島・指宿ゴルフ倶楽部開聞コース(現・いぶすきゴルフクラブ)で1981年に始まったカシオワールドオープン。
リー・トレビノ、ベルンハルト・ランガー、ラリー・マイズが海外の歴代優勝者。青木功、尾崎直道も名を連ねます。
2005年から創業者の地元である高知に会場を移し、kochi黒潮カントリークラブで開催されるようになりました。
2013年には、当時ツアールーキーだった松山がジャパンゴルフツアー5勝目(アマ含む)を挙げ、史上最速で賞金王に輝きました。
メジャーと合わせた獲得賞金も2億円を超え、この試合でジャパンゴルフツアーを”卒業”しました。
〇やっとフェニックスに海外招待選手発表の知らせ
これまではPGAツアーや欧州ツアー(DPワールドツアー)が終了し、日本で”一稼ぎ”をする海外の選手が3大会に多く招待されました。
開幕まで1か月を切り、招待選手はないものかと思われたのですが、やっとダンロップフェニックスの海外招待選手が発表されました。
昨年今年とPGAツアーで1勝を挙げた期待のレフティ、アクシェイ・バティア。先日母国カナダで行われたプレジデンツカップで活躍した、テーラー・ペンドリス。今季コンフェリーツアーで2勝を挙げポイントランク2位につけ、来年からPGAツアーに昇格するマックス・マクグリービー。
以上3選手が招待選手です。
50回記念大会には及ばないものの、開幕まで1か月を切りやっと海外招待選手を主催者が呼べたことに、喜ぶべきではないでしょうか。
これまで前売り券の販売しかニュースはなかったのですから。
〇それでも”寂しさ”はやはり募る
それでも海外招待選手が続々と3つの試合に出てくれていた時に比べれば、”寂しさ”は募ります。
VISAも海外招待選手は最近来てくれなくなり、2015年のバハ・ワトソンが今のところ最後です。
カシオも2005年に高知に大会会場が移動したのを機に、ミッシェル・ウィーやタッド・フジカワなど期待の若手選手を呼んできましたが、いつの間にかなくなりました。
カシオがレギュラーツアー最終戦の位置づけになってからは、賞金王並びに賞金シード権争いにウェイトを置くようになり、それに追随するようにVISAもその系統となりました。
フェニックスは招待選手がいる分、賞金王争いが中心となりますがそれでも海外一流選手達が集い、華麗な技を魅せてくれる試合からは程遠いものとなりました。
現場の努力を見捨てはしませんが、このままの状況がもうしばらく続くようならば”普通”の試合に格下げになるのが目に見えます。
終盤戦での”華やかな大会”、ファンに見せ続けてさせてほしいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?