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2024 アムンディエビアン選手権


1.日程及び会場

〇日程 2024年7月11日~14日
〇会場 エビアンリゾートGC(フランス)
〇全長 6523Y(Par71)

2.結果

優勝 古江彩佳          -19
  (メジャー初優勝、LPGAツアー2勝目)

2  ステファニー・キリアコウ  -18

3  パティ・タバタナキット   -17

4  ローレン・コフリン     -15

5  ユ・ヘラン         -13

6  パジャレー・アナナルカルン -11

3.最後の最後で大逆転イーグル、日本人女子選手4人目のメジャー大会制覇、古江彩佳

 フランスのナショナルデー(独立記念日)に、日本人選手の快挙が世界に発信されました。
 女子ゴルフメジャー第4戦、アムンディエビアン選手権で3日目まで1打差の2位につけた古江彩佳が、1イーグル6バーディー2ボギーの6アンダー65で回り、トータル19アンダーで逆転し、笹生優花に次ぐ今年2人目で日本人女子選手4人目のメジャー大会優勝を挙げました。

〇大熱戦の最終日

 最終日の上位陣による、スコアの伸ばし合いは壮絶でした。
 14アンダーで最終日をスタートしたキリアコウを2H(Par3)で古江とコフリンがバーディーを奪い3人が横一線に。
 3H(Par4)では3人ともバーディーで15アンダー、序盤から試合が熱を帯びています。
 ところが4H(Par4)で古江がボギーを叩き一歩後退するとともに、キリアコウとコフリンがスコアを伸ばし、前半を終了しキリアコウ17アンダー、コフリン16アンダー、古江15アンダーといった状況です。
 後半に入り、12H(Par4)で古江がボギー、14アンダーに後退し一時はここまでかと思われました。
 ところが14H(Par3)、15H(Par5)で長いバーディーパットを連続して決まると再び戦線に復帰。
 最終組が16H(Par3)を終了しキリアコウ18アンダー、古江17アンダー、コフリン16アンダー。そして前の組を回るタバタナキットが最終18H(Par5)でイーグルを奪い17アンダーで先にホールアウトしました。
 17Hでキリアコウとコフリンがボギーを叩き、17アンダーでキリアコウ、タバタナキット、古江が並び、そして運命の最終ホールを迎えます。
 2オンが狙えるPar5、古江の第2打がグリーン手前の池をギリギリ超え、ボールはグリーンを捉えイーグルチャンス。
 「プレーオフにだけは持ち込みたくない」という思いが通じたのか、イーグルパットは見事に決まり、喜びを爆発させました。

〇古江彩佳のプロフィールとヒストリー

 兵庫県出身の古江彩佳、出身校は滝川第二高校です。高校を卒業し六甲国際GC研修生となりました。
 19歳で出場した富士通レディースに、アマチュア選手として7人目の日本女子プロゴルフツアーに優勝。即プロ転向を表明しました。
 そして21年までに日本でツアー6勝、その年の末に米女子ツアーテストを受験し、7位に入り翌年の出場権を得ました。
 いきなりルーキーイヤーから活躍を見せ、トラストゴルフスコットランド女子オープンで米女子ツアー優勝。CMEグローブランキング17位に入りツアーメンバーとして認められるようになりました。

・壮絶な五輪争いを経て新たなスタート

 先月まで繰り広げられた、パリ五輪ゴルフ競技・女子日本代表選考。
 ロレックスランク上位2選手に与えられることもあり、米女子ツアーを拠点とする選手にとって優位に働くので、すでにツアー優勝の経験がある古江にとってはアドバンテージがありました。
 全米女子オープンで笹生が優勝し五輪代表が確実、残り1枠をめぐる壮絶な争いを古江、畑岡奈紗、そして山下美夢有の3人で行いました。
 米女子ツアーで安定した成績を残しており、決定直前までは古江が代表に選出される公算が高いと見られていました。
 畑岡が本調子からは離れすぎていたこともあり、代表争いから脱落。古江と山下のマッチレースを呈す様相となり、古江が一歩リードしていました。
 ところが選考対象最終試合となる全米プロで、古江が平凡な成績だったのに対し、山下が2位タイに入り大逆転で五輪出場を決めました。
 東京五輪では畑岡と稲見萌寧が代表に選出され、古江は2大会連続で出場を逸する結果に終わりました。
 直前まで掴みかけた五輪の切符を手放し、しばらくは失意に溢れていましたが切り替え、新たに進んで行く最中でのメジャー優勝でした。

4.古江の優勝をいろいろと祝福

〇日本でできない、シャンパンシャワー

 日本のツアーでは表彰式の妨げになることから禁じられている、優勝者を祝福するシャンパンシャワー。
 少し涙ぐんでいた古江に山下、勝みなみ、西村優菜、そして西郷真央の4選手が近寄ってきます。彼女たちの手にはシャンパンの大瓶があります。
 そして古江にシャンパンを振りかけ祝福し、最後は一人ひとりにハグをして喜びを分かち合いました。

〇日の丸と君が代

 表彰式も独特の雰囲気がありました。
 女性ジャンパーがスカイダイビングをしながら日の丸を掲げて地上に落下し、着陸したジャンパーが古江に日の丸を渡し、マントのように日の丸を背に背負いながら優勝トロフィーを掲げている姿が印象的です。
 また式典では君が代が演奏され、一足早くオリンピックの表彰式を見ているかのようでした。

〇トンボ返りの渋野日向子

 一足先に大会を終了し、宿舎に帰っていた渋野日向子。
 ネットで古江の快挙を知ると、一目散にコースへトンボ返りし古江を祝福していました。
 本当ならコースで待機し、シャンパンシャワーの輪に加わりたかったことは容易に想像が付きます。

5.日本女子選手メジャー優勝の遍歴

〇樋口久子(1977年、全米女子プロゴルフ選手権)

〇渋野日向子(2019年 AIG全英女子オープン)

〇笹生優花(2021、2024年全米女子オープンゴルフ選手権)

〇古江彩佳(2024年アムンディエビアン選手権)

 女子メジャーは5試合あり、もう一つシェブロン選手権があります。
 これに優勝すれば日本人女子選手によるグランドスラムの達成です。
 来春にはその一報が入るのかもしれません。

6.祝福のコメント

〇樋口久子さん(日本女子プロゴルフ協会顧問)

『優勝おめでとうございます。素晴らしいプレーを拝見いたしました。今回の古江さん、持ち前のショットの精度、パッティングのうまさに加え、ここぞという時の集中力がとにかくすごいと感じます。
 振り返ると、全米女子プロゴルフ選手権までは勝敗に加え、パリオリンピックの出場資格争いがかかっていた。日本勢2番手につけていた古江さんは、プレーを見ていても少し違うなぁ。そんな印象をうけました。プレッシャーだったのかはわからない。
 でも、アマチュアの時から体形は小柄でも、思い切りの良さが際立っていました。その特性があまり伝わってこなかったことが、ちょっと気になっていたのです。その後、オリンピック代表の2枠目は山下美夢有さんに決まりました。心中をおもんばかると、本当に残念だったと思います。
 海外でプレーし、しかも試合ではトップ10の常連選手。ここまで、自分が思うようなプレーができず結局、4年に1度のチャンスを2回連続で逃してしまった。プライドが許さなかったでしょう。ただ、今回はそんなモヤモヤが吹っ切れた様子。今回のメジャー優勝を期に、今後も優勝を重ねるでしょう。勝てるプレーヤーです、古江さんは』

日本女子プロゴルフ協会HP

〇小林浩美さん(日本女子プロゴルフ協会会長)

『米国メジャー、エビアンでの優勝、おめでとうございます!
 素晴らしいイーグルで鳥肌が立ちました。
 エビアンは特にグリーンの芝目が強く、そこの読みがパッティングに影響します。
 世界中の強い選手が凌ぎを削って戦う中で、これまでの日米の経験が合わさって、メジャー優勝の栄誉を勝ち取ったと感じます。
 とても誇りに思います』

日本女子プロゴルフ協会HP

〇宮里藍さん(2009年本大会優勝、メジャー昇格前)

「本当におめでとう-!!」(自身のインスタグラムより)

日刊スポーツ

〇松山英樹

「Congrats Ayaka!!!!」(自身のインスタグラムより)

日刊スポーツ


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