「イル・ポスティーノ 4K デジタル・リマスター版」
4Kリマスター化の価値がある。
昨今、旧作を4Kリマスターして再上映ということがよくある。
なんでもかんでもということではなく、皆、それぞれの思惑があっての事だろうが
どうして?と思う事も少なくない。
と、まあ、それはそれとして
本作は30年前の大ヒット作。
そして作品のオープニングを見た瞬間に「4Kリマスター化ありがとう」と言いたくなった。
原題の「Il postinoイル・ポスティーノ」はその通り「郵便屋さん」
1995年度のアカデミー賞で作品賞を含む5部門にノミネートされ、
日本公開は1996年でロングラン大ヒットを記録。
イタリアにチリの詩人パブロ・ネルーダが亡命して一時期を過ごす。
この事実をもとにこの物語は生まれた。
郵便配達としてこの詩人への手紙を届けるだけにやとわれた青年マリオ。
詩に目覚める若者マリオ、彼が恋をすると、詩人ネルーダはその思いの表し方、詩の指南を、と
二人の交流が深まる。
舞台はイタリア、ナポリ沖合いの小島、この島の美しさ、
青年と詩人、恋人の表情
そのすべてが改めて4K化することで見事に昇華されている。
詩人役のフィリップ・ノワレといえば
名作『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)の映写技師としてのあの姿が目に浮かぶだろう。
そして何よりも
青年役のマッシモ・トロイージ。
彼自身がネルーダをモデルにした小説に感銘を受け自ら企画を立ち上げ主役も演じた。
実は心臓の病を抱え撮影時には既に日に数時間しか演じることができなかったとのこと、
だからだろうか、その演技には何とも言い表しようのない影と優しさが加わった。
しかし、病のためクランクアップ12時間後に41歳という若さでこの世を去った。アカデミー賞男優賞にノミネートを知ることなしに。
「”言葉”が、人生に愛を運ぶ」
本作宣伝のキャッチコピー、いいじゃありませんか。
もしかして、これは原文がイタリア語であるのかな?知りたい。
と思って勝手に翻訳してみた。
Le “parole” portano l’amore nella tua vita
(レ パローネ ポルタノ ラモーレ ネラ トゥァビータ)
と言うらしい、素敵な音だ。。
2024年11月8日 公開