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玉ねぎの健康に関わる研究紹介

●アリシンの効果について
つい先日も一週間ほど、気だるい熱っぽい頭痛がするといった症状が続いていて、なんの薬も効かない、ミルトンもさほど効果ないという状況で、一旦何なのかと不安を覚えました。

これまでの治療ポートフォリオを紐解いて一つずつ吟味したところ、玉ねぎに行き着きました。

金曜の夜に生玉ねぎを半玉ほど切ってムシャムシャと食べてしばらく様子を見ました。

30分ほどで免疫が活性化されて体が火照り、あっという間に軽くなって除菌が見事奏効しました。鈍痛のような頭痛に悩まされていたのですが翌日にはすっかり治っていました。例年、この辺りから体調を崩してしまうのですが今年は乗り切れそうです!!

以前の記事で生玉ねぎのしぼり汁を服用することで、ミルトンでは対処できなかった感染源に対して除菌効果があったと報告しました。

この時は免疫細胞と感染細胞のバランスが微弱に変わったことで免疫細胞が抗原認識をできるようになったのだと考えていました。

免疫細胞が活性化して抗原認識を促して免疫による感染細胞の駆除が始まるとしたらその機序は何なのでしょう?

これは以前から調べたいテーマでしたが、Google検索では中々満足のいく記事が見つかりませんでした。

そこで一念発起して、学術系の調べものをしてみたところ、玉ねぎがどのように人体に関わるか色んな研究がなされていました。その一部をご紹介します。http://www.city.okayama.jp/contents/000200312.pdfたまねぎ: 腸管出血性大腸菌O157に対する殺菌効果を認めたが、サルモネラ、黄色ブドウ球菌には阻止帯はなく、殺菌効果は認められなかった。

ニンニク:サルモネラ、腸管出血性大腸菌O157、黄色ブドウ球菌
いずれの菌にも1cm程度の阻止帯が形成され、殺菌効果が確認された。https://core.ac.uk/download/pdf/35267707.pdf

ニンニク由来の硫黄化合物であるアリシンは種々の薬効に加えて、抗癌ならびに抗菌活性を示すことが知られている。しかし、これら生理活性の発現機序は多くが不明のままである。本研究では、アリシンが銅(Cu2+)ならびに抗生物質アンホテリシンBの抗真菌活性を顕著に増幅する事実に注目し、

これら薬剤成分による新たな抗真菌活性の発現機構を出芽酵母をモデルとする系で解明するとともに、その応用の可能性について検討した。 Cu2+の抗真菌活性の増幅効果はアリシン以外の硫黄化合物には認められなかった。アリシンは低濃度のCu2+の細胞への取り込みを促進したが、活性酸素種の産生などCu2+自身の細胞毒性を助長することはなかった。アリシン処理細胞において、Cu2+は細胞質に蓄積することなく細胞膜タンパク質との強い結合を介して著量の細胞内K+を細胞外に漏出させた。

その要因の一つとして、アリシンに細胞膜リン脂質を過酸化状態に維持しつつも、その分解を抑制するような活性が見いだされた。

事実、アリシン処理細胞の細胞膜画分からはalkylhydroperoxide reductase 1(AHP1)が消失していた。

アリシンは細胞膜リン脂質への作用を介してCu2+による真菌細胞膜のイオン輸送系に対する阻害を惹起したとみなされる。

アリシンと種々細胞膜障害性抗生物質との相乗作用について検討したところ、

本硫黄化合物がアンホテリシンB(AmB)の殺菌作用を著しく増幅する事実を見いだした。

さらに、その作用がAmB本来のエルゴステロールとの結合を介した細胞膜障害の助長によるものではないことを明らかにした。

一方、致死濃度のAmBが液胞膜の断片化を促し、アリシンがAmBの液胞に対する作用を増幅するという新たな事実が見いだされた。

予めエルゴステロールを集積させた液胞の形態形成はAmB+アリシン処理によっても正常に進行した。

アリシンは液胞の形態形成に関与する細胞膜から液胞膜へのエルゴステロール供給系を阻害する可能性が示唆された。

アリシンはAmBの種々病原性真菌に対する殺菌作用をも増幅したが、液胞を持たないヒト腫瘍細胞に対するAmBの細胞毒性を増幅しなかった。


Allicin Improves Lung Injury Induced by Sepsis via Regulation of the Toll-Like Receptor 4 (TLR4)/Myeloid Differentiation Primary Response 88 (MYD88)/Nuclear Factor kappa B (NF-κB) Pathway.

Med Sci Monit. 2019 Apr 8;25:2567-2576. doi: 10.12659/MSM.914114.

バックグラウンド

この研究の目的は、敗血症による肺損傷のin vivo研究におけるアリシンの効果とメカニズムを評価することでした。

材料と方法

ラット(n = 54)はDMSO、LPS、LPS + LD、LPS + MD、LPS + HD、通常の6つのグループに分けられました。


これらを治療した後、各グループラットの肺組織を収集し、HE染色による病理学とTUNELによる陽性アポトーシス細胞を評価しました。

IHCアッセイにより、W / D比、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6、IL-1β)、相対的なタンパク質発現(TLR4、MyD88、NF-κB、カスパーゼ-3、カスパーゼ-9)を評価しました。

結果

LPS群と比較して、アリシン治療群の肺損傷と陽性細胞数は用量依存性で有意に改善され(それぞれP <0.05)、W / D比とTNF-α、IL-6、IL-1β濃度は用量依存性のLPS群と比較して有意にダウンレギュレーションされていた(それぞれP <0.05)。

IHCにより、アリシン治療群のTLR4、MyD88、NF-kappaB、カスパーゼ-3、カスパーゼ-9タンパク質活性は、肺組織のLPS群と比較して有意に抑制されました(それぞれP <0.05)。

結論

アリシンがTLR4 / MyD88 / NF-kappaBの調節により敗血症誘発肺損傷を改善したことを示す。


Allicin enhances antimicrobial activity of macrophages during Mycobacterium tuberculosis infection.

J Ethnopharmacol. 2019 Oct 28;243:111634. doi: 10.1016/j.jep.2018.12.008. Epub 2018 Dec 8.

薬物耐性結核菌(M.tb)株の出現は、結核(TB)撲滅に向けた世界的な取り組みを大きく妨げています。

国際的に認められている治療法には薬剤耐性M.tbバリアント発生リスクが組み込まれています。

複数TBで非常に薬剤耐性のある(MDRおよびXDR)株種が現在世界中で広く普及しており、完全に薬剤耐性のある(TDR)系統も出現しています。

これら耐性株と闘うには、新しいクラスの抗生物質が緊急に必要です。

一方、歴史的にニンニクはマイコバクテリア株を殺すことが知られており、その活性化合物であるアリシンはさまざまな微生物に殺菌効果があります。

ここでアリシンは、結核菌(M.tb)に感染したマウスの肺の細菌量を減らすだけでなく、強力な抗結核免疫も誘導することを示しました。

材料および方法:

ニンニク抽出物および成分であるアリシンの抗マイコバクテリアおよび免疫調節活性が、結核マウスモデルにおいて試験管実験および体内実験に基づいて検証された。


結果:

アリシンが、薬剤感受性の(MDRおよびXDRの)TB株に対してin vitroおよびin vivoで強力な抗マイコバクテリア応答を示した。

直接的な死滅に加えて、アリシンはマクロファージの炎症誘発性サイトカインも誘導した。

アリシンによるマクロファージのMAPKおよびSAPK / JNKシグナル伝達の調節を示ことがわかかった。

さらに、マウスの感染モデルにおけるアリシン投与により、強力な保護的なTh1応答が誘導され、マイコバクテリアが大幅に減少した。

これらより、アリシンが抗菌活性と免疫調節活性の両方を持っていることを示された。


結論:

アリシン/ニンニク抽出物は、単独でも、抗生物質の補助剤としても、薬物感受性および薬物耐性結核の治療に有望。

結核治療のためのアリシン研究の礎となる。


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