中華鍋を買えば人生のすべてが良くなるのかな?(日記 2025/01/03)

初売りを狙って新宿の百貨店を見に行った。前々から欲しいと思っていた中華鍋。流しに入る直径かどうか迷い、即断即決で買うのはやめたが、帰宅してからも何度もあの中華鍋のことが頭に浮かんでしまっている。中華鍋を買えば料理のすべてが解決すると昔友人が言っていた。中華鍋のキャッチコピーには、鉄分がしみだすので貧血予防によいとまで書いてある。こんなものをひとたび導入すれば、一瞬で炒飯の米はぱらぱらになるし、それによって僕の体調は大いに改善されるだろう。中はジューシーで外はぱりぱりの餃子ができれば、もう今後の人生で恐れるものは何もないという気分になるかもしれない。そのような全能感は長期的に僕の頭を元通りにするはずだ。中華鍋を買えば人生のすべてが良くなるのではないか。あさましい思い煩いに満たされた僕のさまざまな時間は、僕の焜炉の強火の真っ只中に中華鍋が現れることによって解き放たれるのではないか? 僕の頭の中に陳建一が現れては消える。さまざまな葛藤が、陳建一とともに頭の中で明滅している。中華料理が持つある種のリズムのように、僕の苦悩はしだいに弱火になり、やがてぱらぱらの炒飯を残して、小さな破裂音とともに消える。

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